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「ただいま。あれっ?なんかいい匂い…たくちゃんシチュー作ったの?」 静かに帰ってきた翠は匂いでシチューって気づいたみたいだ。 「お帰り。そうだよ。翠はお子さま舌だからシチュー好きでしょ?」 「うん。たくちゃんが作ってくれたものなら、なんでも好きだけどね」  う~ん、声だけ聞くと元気そうだけど、どうみても顔が疲れてるよなぁ。 「早く手洗っておいでよ、温かいうちに食べよう!」 「うん!」  別々の時間で帰ってきた日は、翠がすぐに俺にくっついてくるんだけど、最近はそんな事もない。これはね、異常事態だよ。再会してから匠先生匠先生ってしつこくて、いざ付き合ってからもピッタリくっついてた翠がなぁ…。  辛いことがあるとこうなるんだなって初めて知った新しく一面。俺が翠の事思い出してなかった期間も、もしかしたら一人の時は暗かったのかもしれないなと、手を洗ってうがいをしてる翠の存在を感じながらそう思った。 「いただきまーす!んっ!おいひい!」 「翠、慌てると火傷するから」   「たくちゃんて、何気に優しいよね。昔からそう。俺が元気ないの気づいてくれるんだ。今回もそれを分かっててこういう事してくれてるんだよね」 「やっぱり気づいた?ふふっ、これだけじゃないんだよ。喜んでくれるか分かんないけど、デザートは俺ね」 「ぶほっ!」 「あーあー、吹き出してむせって忙しいなぁ。はい、お水。あー、俺が拭くからいいよ。翠は落ち着いて」 「ごめっ、ん。ちょっと、たくちゃんからのその提案嬉しくてむせちゃった。最近あの子の病気の事で、俺頭いっぱいになっててさ、二人でイチャイチャ出来てなかったよね。じゃぁ、急いで食べる!」 「だから慌てるとむせるから。俺逃げてかないんだし」  良い加減に冷めてきたシチューを頬張り、水で流し込んで、サラダまでがっついて。折角作ったんだからゆっくり食べてよなんて思わないよ。少しでも元気そうになって良かった。  あっ、翠眺めてないで俺も食べよ。 「なんか、あれだよね。でもこんな風に言葉にしてたくちゃんが誘ってくれるって貴重な気がする。いっつも俺がたくちゃんに興奮して推し倒しちゃうか、たくちゃんはシヨう?って態度で伝えてくれるから」 「う~ん、そう言われたらそうだよね。態度に出せば翠が分かってくれるって思ってるからさ。あっ、食べ終わったね。実はね、翠が元気になるかな~って思って、可愛い下着買っちゃったんだ。でも気合い入れすぎじゃんて思われるかもで…見せるの恥ずかしくなってきたかも」  今まで散々好きではない相手とそういう行為をしたり、着てくれる?って言われたコスプレも着たりしても平気だったのに、好きな相手に見せるってハードル高い。 「可愛い下着?…見るに決まってるよ…。どこ?どこにあるの?寝室?脱衣所?どこ?」

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