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俺たちの効果音 (3)

 理人さんは、わかりやすい。 「うーん、美味しい!」  理人さんの落ちそうなほっぺがモグモグと動き、ごっくんと音を立てながら喉仏が上下した。  いそいそと二口目をスプーンですくい上げる姿を見守りながら、俺もわらびもちを味わう。  口に含むなり餅はあっという間にとろけ、きな粉の濃厚な味が舌の上を漂った。 「すごい、柔らかいですね」 「うん」 「すぐに消えてく」 「うん」 「きな粉もちょうど良い甘さだし」 「うん」 「次は、黒蜜かけてみましょうか」 「うん」 「理人さん」 「うん。……ん?」 「慌てないで、ゆっくり食べて? 誰も取らないから」 「……うん」  はにかんだように笑い、理人さんはスプーンを置いた。  熱々の緑茶の入った湯飲みを持ち上げ、一口すする。  それを何度か繰り返し、理人さんは湯飲みをコトンとテーブルに置いた。 「……佐藤くん」 「はい?」 「好きだよ」 「はい。俺も――」 「幸せすぎて死にそうだ」 「……」 「愛してる」  ふたつのアーモンド・アイがトロン……と蕩け、俺のハートが、きゅんっと音を立てた。  fin

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