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独占欲
勢いよく引き寄せられ、悠さんの香りが一気に俺を包む。
ギュッと抱き締められていることに戸惑いながらも、両手を悠さんの腰に回し後ろで組んだ。
首筋に当たる吐息が擽ったい。
「どうしたんですか?急に。」
抱き締めたまま顔を横にずらし耳元に囁く。
甘い香りに吸い寄せられ、そのまま耳殻に口付けた。
「…別に。ただ何となくこうしたかっただけだよ。」
暫くすると小さな声でそう呟かれ、背中に回された腕に力が入った。
さっき他の男に触れられていた悠さんの姿を思い出す。
触らせないで欲しい。
俺以外に笑いかけないで欲しい。
そんなことは無理なことだって解っているけど。それでも子供じみた独占欲に支配され、俺も腰に回していた腕に力を込めた。
「…悠さん。」
「んー…?」
「大好きです。」
「…ッ…うん。」
言葉に出すといつも照れてしまう貴方は、やっぱり今も赤くなっているのだろう。
「…キスしても良いですか?」
「…!いちいち言葉にするな。」
咎めながらも顔を上げてくれるから、それが嬉しくて「大好きです。」ともう一度呟きながら貴方の唇を塞いだ。
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