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5月19日 落ちる2

「…悠」 軽く揺すられて気がついた。 蒼牙に身体を預けたままいつの間にか眠っていたらしい。 「気がついた?」 クスクスと笑いながら耳朶を噛まれ「ンッ…」と身を捩った。 「ほら、上がるよ。」 そう言うと蒼牙は俺をまた抱き上げ、脱衣場に連れていく。 「悪い、寝てた…。」 まだボーッとする頭で、俺の身体を拭いていく蒼牙を見つめた。 「無理させてるから。ほら、手を通して。」 笑いながら俺に浴衣を着せていく蒼牙。 手際よく帯まで結び、自分も浴衣を着ていく。 「歩ける?抱っこしてあげようか?」 いたずらっ子のように笑いながらそう言うと、わざとらしく手を広げる。 …甘えたい。 眠さで馬鹿になっている頭は正常な判断が出来なくて、俺は「ん…」と手を伸ばし蒼牙の胸に潜り込んだ。 「え、何、この可愛い生き物。」 慌てたような声が頭上から聞こえたが、俺が擦り寄るとすぐに抱き上げて布団まで運んでくれた。 フワリと布団に降ろされる。 直ぐに隣に蒼牙が入ってきて、暖かい腕に抱き締められた。 気持ち良い。 激しいセックスの後に温泉で温もった身体は心地よい疲労感に襲われ、どんどん意識が薄れていく。 背中に回された手が優しく頭を撫でてくれる。 蒼牙の胸元からは石鹸の良い香りが漂ってきて、無意識に鼻先を擦り寄せていた。 「…ッ…フゥ…。」 頭上から押し殺したような溜め息が聞こえて、ハッとした。 『上がったら、いっぱい触らせて』 蒼牙が言っていた言葉。 俺はもぞもぞと動き、蒼牙の上にのし掛かった。 「…悠?」 「ごめん、寝るとこだった…」 肩に額をくっつけ囁くと、腰に手を回してクスクスと笑われた。 「ありがとう。でも、もういいよ。寝て?」 チュッと耳にキスをして背中を撫でてくれる。 「…でも」 乗っかっていることで分かる。 蒼牙のそこはまだ熱をもち硬さを保っていた。 「大丈夫、悠がまた明日頑張ってくれたら。…今日はもう寝て」 茶化すように言って、また頭や背中を撫でてくる。 ダメだ、気持ち良い。 蒼牙に応えてやりたい気持ちとは裏腹に、身体はどんどん睡魔に負けていく。 …じゃあ、せめて 俺はダルい身体を動かし馬乗りになると、浴衣の襟を寛げながら蒼牙を見つめた。 「…じゃあ、せめて吸え。」 晒した首筋を蒼牙の顔近くまで近付ける。 「…ッ!」 蒼牙が息を飲むのが分かったー。

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