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愛しくて6(※流血表現有)

「···あほ。」 「はい。」 「絶倫。」 「···すみません。」 「調子に乗りやがって。加減を知れ、馬鹿が。」 「う···ごめんなさい。」 布団の中で丸まった悠さんが悪態を吐いてくる。 ベッドの横でその背中と腰を擦りながら謝る俺は、かなり滑稽だと思う。 悠さんとほぼ一緒に達してから余韻に浸っていると、『あ··中、熱い··』と腹部を撫でる声が聞こえて。 その仕種にまだ抜いていなかった自身がまた反応してしまった。 『え、ちょっと、待て···ンアッ!』 制止してくる身体を反転させ、バックから攻め立てさんざん啼かした。 その後も色々と無理をさせたのは言うまでも無く。 『後でいっぱい罵って良いから』と言った言葉通り、こうして悠さんから悪態を吐かれている。 「でも、悠さんのせいでもあるんだから···」 「···俺のせいにするな。」 僅かに覗いている頭が小さく揺れた。髪の隙間から見える耳が赤く染まっていて照れているの伝わってくる。 ···ほんと、なんでそんなに可愛いかな。 顔がにやけてしまい、慌てて引き締めた。 だいたい、悠さんが俺のを飲むから悪いんだ。 今まで口でしてくれたことはあったが、飲ませたことはなかった。 あの時、悠さんが俺のを飲み込んだ音が今でも耳に残っている。 その上、愛しそうに俺のものにキスを落としたりなんかするから···あれが無自覚なんだから、たちが悪い。 肉体が快楽に負けたのもあるが、それ以上に悠さんへの気持ちが溢れてしまって。 いつもより乱暴な抱きかたをしてしまったことは反省しているが、ひどく満たされた気持ちにもなっている。 「ほんと、すみませんでした。」 謝っている声が笑ってしまうのを抑えられない。 その事に気が付いたのか、悠さんが布団から顔を出して軽く睨んできた。 ···涙を流した目尻が少し赤くて、それがまた色っぽいなんて言ったら、きっと殴られるな。 「···反省してないだろ。」 「そんなことないですよ、ちゃんと反省してます。ただ···」 覗いた顔を撫でながら微笑むと、訝しげな表情をして「ただ···なんだよ。」と返してくる。 「··また悠さんが同じように俺を煽ったら、この反省は活かせませんけど。」 「···ッ! だから、人のせいにするな!!」 「フッ、ハハハッ!」 途端に赤くなった悠さんに、おもわず声を出して笑ってしまう。 拗ねたようにまた布団に潜ってしまった身体をのし掛かるようにして抱き締めると、「···重い。」と文句を言われた。 ···ダメだな、俺。今日はスゲー我が儘になってる。 欲しくて仕方ない。 布団ごとギュッと抱き締め頭付近に口付けながら、俺はこの人だけに言う我が儘を口にした。 「···ねぇ、悠さん。欲しいです。」 「·····。」 「ダメですか?どうしても、今···貴方が欲しい··」 こんな我が儘、貴方にしか言えない。言いたくない。 抱き締めた身体がピクリと動いた。 俺が何を欲しているのかなんて、言わなくても伝わっている。 それが愛しい。 少しだけ布団を捲り、現れた頭に繰り返しキスを落とす。シャンプーの香りが鼻を擽り、落ち着いたはずの欲望にまた火がつきそうだ。 「···焼き肉。」 「はい?」 暫く黙っていた悠さんが小さな声で呟いた。 「明日の晩飯、焼き肉を奢れよ。レバー食いまくってやる。」 「フッ、はい。···ありがとうございます、悠さん。」 恥ずかしいのか、それとも緊張しているのか、固まったように動かない悠さんから布団を剥ぎ取る。 すぐさま首に腕が回されしがみつくようにして身体を起こすのを、背中と腰に腕を添えて手伝った。 口元にある耳に軽く口付けると「ンッ、」と身体を捩るのが可愛くて、何度もチュッチュッと音を響かせていく。 「···悠さん。顔、上げて··?」 背中を撫でながら囁けば、「クソッ」と小さな声が聞こえてきた。 そうしてゆっくりと上げられた顔は赤く染まり、悪態を吐いていた唇は艶めかしくて。 「あ~ダメだ···その顔、反則。優しくしたいんですから、煽らないでくださいって。」 顎を持ち上げ首筋に口付けながら囁くと、頭を撫でられた。 「だから··調子に乗んな···ンッ、 いッ!」 ガリッと晒された首筋に噛みつくと痛みからの声が上がる。 でもそれは直ぐに別の感覚に変わり、震える手が俺の頭と肩に添えられた。 ···チュッ、チュル··· 「ハァ···そ、が··うまいか··?」 甘い声が耳に届く。 まるでセックスの最中のような艶目いた声に、身体が熱くなってしまう。 「···最高に」 舐めあげながら答えると「なら、良い···」と吐息と共に呟き、力無く頭を抱き締められた。 「··チュッ、ん、悠···」 一度口を離し、首筋を見つめる。 目に鮮やかな赤が滲み甘くて芳醇な香りが漂っているそこに、言いようのない満足感と征服感で満たされていく。 「悠、愛してる···」 いつの間にか回されていた腕は落ち、意識を手放している悠さんにゆっくりと口付ける。 自身の赤い血で染められた唇を指の腹で撫でとると、俺はもう一度脈打つ首筋に吸い付いていったー。

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