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第2話

実は何度かあの家の親には内緒でアイツの部屋に遊びに行ったことがある。 真夜中にゲームをしにだ。 2階のアイツの部屋に庭の木を登って忍びこんだのだ。 2人でこっそりゲームをして笑いあった。 声をだしたらバレるから、声を潜めて笑うのは辛くて、声が出てしまって、それにまた笑って。 あとすこしでアイツの親に見つかるとこだった。 だから忍び込み方は知ってた。 塀を乗り越え、木に登る。 そしてベランダから侵入した。 窓は開いてた。 良い季節だから。 ただ、部屋は真っ暗で人の気配はしなかった。 「おい、 !!」 オレはアイツの名前を呼んだ。 息を呑む気配がした。 真っ暗な部屋のベッドに寝ているのが分かった。 「お前が学校来ないから来たぞ」 オレはそう言って、アイツのベッドに上がる。 アイツのかたちをした影に触れる。 触れた瞬間ピクリと震えた。 「帰れよ」 押し殺した声。 泣き声だ。 ずっと泣いていたのか。 「どうしたんだ」 オレは聞く。 小学生からのツレだ。 ずっと2人でバカしてきた。 何でも知ってる仲なのだ。 初めての精通も、学校の帰りにコイツがうんこを漏らしたことまで知ってる。 オナニーだって初めては2人でやった。 エロい漫画の貸し借りもしてる。 女子に初めてフラレた時のことも。 こいつに拒否されたことなんて今回以外は1度もない。 「帰ってくれよ・・・」 アイツがなく。 オレはため息をついた。 そして、立ち上がり電気をつけた。 泣き腫らした顔のアイツがベッドの上にいた。 痩せて痛々しい。 「おい、どうしたんだよ」 オレは心配になって聞く。 アイツはすすり泣く。 「見るな・・・」と。 そこで部屋の窓を開け放しても消えない匂いに気付く。 ああ、と思う。 オナニーしてたのか。 まくり上がったシャツのせいで背中が丸見えだ。 ズボンも脱いで尻はむき出しだった。 だが、小学生の頃は2人でしてたんだし。 今さら恥ずかしがることも無いだろうと思った。 そら、さすがに高校生にもなって一緒にするようなことはないけど。 「今さら。お前がうんこ漏らしてのまでみてんのに」 オレは笑った。 「違う・・・お前が見ていたオレと今のオレは違うんだよ・・・」 アイツが泣きじゃくる。 やせて細くなって・・・いや、こいつこんな体型だった? なんか首筋のとことか、エロイんですけど。 「どうしたんだよ、なあ」 オレはアイツを抱き起こしたのには他意はなかった。 単にこちらを向かせたかっただけだ アイツは泣いた。 頑なに身体を丸まらせて。 オレの腕の中で身体を強ばらせて泣く幼なじみにオレは困惑した。 何だかやたらと甘い匂いがするのにも。 「こっち向けよ」 オレは顔を向かせた。 まるでキスするみたいだったが何度も言うが他意はない。 痩せた顔が人形みたいになってて。 目だけが大きくて。 潤み、涙をこぼす目に何故かドキリとした。 イタズラを次から次へと考えるアイツの顔じゃないみたいだった。 「どうしたんだ・・・」 オレは心の底から心配していた。 バカやって楽しくて。 こいつといるのが本当に楽しかったからだ。 こんなに泣いて。 どうなったんだ。 オレの本気は伝わったらしく、アイツは何かを決めたようだった。 「・・・見て」 アイツが自分のTシャツを捲りあげた。 なんだ? と思った。 でも。 痩せた胸は確かに微かに隆起していた。 ちっちゃい、おっぱいだ。 オレは。 オレは。 さすがに言葉を失った。 「お前、女の子・・・」 オレは聞いた。 そんなはずなどない。 オレはこいつにしごき方まで教えたのだから。 「違う!!でも急に・・・」 そしてアイツはベッドの上で脚を拡げた。 なんだか細い脚に妙にドキリとした。 今までそんなことおもったことなかったのに。 そして、何度か見たことのあるアイツのペニス。 やっぱりペニスがあるから男だよな、と思った。 アイツが震える指でペニスと玉を持ち上げた。 「まじか!!」 オレは思わず声をあげて慌てておさえる。 忍びこんでいるんだから、バレるわけには。 驚かずにはいられなかった。 アイツの玉の下には女の子の性器がついていたのだ。 いや、実物見たことはないけど、でも、うん。 コレ女の子のアレだよな。 「ひと月前から、なんか穴みたいなのが空いてると思ってたら。どんどん・・・そしたら胸も出てきて・・・」 アイツは泣きながら告白する。 最初はしこりと小さな穴だったそうだ。 それが次第に女性器になっていく。 怖かった、と。 そら、こわいだろ。 そう思った。 身体に女の子の部分かいきなり生まれてくるんだから。

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