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第1話 禁じられた関係
知矢(ともや)の華奢な指がシーツを思い切り握る。
「ああ……お兄ちゃん…………ああ……」
兄である典夫(のりお)にバックの体位で何度も何度も突かれて、たまらなく気持ちいい。
「……知矢……好きだよ……知矢……」
「お兄ちゃん……僕も、好き……」
そしてしっとりとキスをする。
……二人は紛れもない血の繋がった兄弟だ。
だから、こんなふうに体を重ねることは最大の禁忌。
それでも二人は真剣に愛し合ってるから、今夜もまた狂おしい思いのままに抱き合う。
もう数えきれないくらい愛し合う行為をしているけれど、知矢の心の中には常に混在する不安がある。
それは。
『お兄ちゃんが僕とタブーを犯すことを厭い、離れていちゃったらどうしよう』
ということだった。
四つ年上の兄である典夫はモデルのような長身で、モデル以上のイケメンだ。彼を狙っている女の子はそれこそ星の数ほどいる。
なのに、知矢は身長こそなんとか百七十に届くが、幼いイメージで、お世辞にもかっこいいとは言えなくて女の子にもほとんどモテない。
お兄ちゃんは僕にはもったいない
「……知矢……何考えてるの?」
「あ……お兄ちゃんの、こと……」
「それは光栄……」
そんな睦言を交わしながら典夫がグイと知矢の前立腺を突くと唇から甘い悲鳴が迸る。
「あっ……ああ……お兄ちゃ……」
「知矢……」
典夫の律動が早まり、知矢の真っ白な背中にキスを落とす。
兄弟二人は快楽を貪り、高みへと昇りつめて行った。
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