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第2話 切なさと愛しさと
兄の典夫とのセックスのあとは、知矢は精も根も尽き果ててしまいクタクタになってしまう。
だからすごく恥ずかしいのだけれども典夫に後始末をしてしまう羽目になる。
典夫は知矢の全身を綺麗に拭いてくれてから自分が放った精液を中から掻き出してくれる。それもことさらいやらしい手つきで。時には知矢がその淫らな行為で感じてしまうまで。
「……っ……お兄ちゃんっ……」
「あ、悪い。感じちゃった?」
今もそうだ。指をいやらしく動かしながらうれしそうに言ってのける。
甘い意地悪をする兄に、小さく、
「……お兄ちゃんのエッチ」
と言ってやると、耳ざとくその声を拾った典夫に、
「エッチなのは知矢の方だろ」
とこれまたうれしそうに返されてしまう。
「なんでだよ?」
「だって、こーんな何にも知らないような幼い顔してるくせに知矢ってばしてるときはあられもない姿を見せて、もっとって強請って来るじゃん」
「お、お兄ちゃんっ」
「さてと、きれいになった」
知矢の真っ赤な顔の抗議をスルーして、典夫がベッドの隣に潜り込んで来る。
今夜は兄の部屋で愛し合ったのでベッドも典夫のものだ。
「おいで、知矢」
シーツも新しく替えられてお日様の匂いがする。
そんな中で典夫に抱きしめられると、知矢は切なさと愛しさの思いで溢れてしまう。
それは絶対に実の兄弟で抱いてはいけない類の思いなのだけど。
この気持ち、止められない――――。
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