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第6話 ラブラブ兄弟

「……や、知矢?」  兄に頬を軽くつねられて知矢は嫌な想像から現実に帰って来た。  目の前には少し怒ったような、心配してるような、それでもどこまでも端整な顔。 「ボーとして何考えてたんだ? 知矢は俺のことだけ考えてなきゃいけないんだからな」 「お兄ちゃん」  心配しなくても、いつだって知矢の心は典夫のことで一杯だ。 「……知矢」  不意に典夫が知矢を強く抱きしめて来た。 「お、お兄ちゃん。リビングにまだ母さんがいるんだよっ!?」  兄の熱い抱擁にあわあわするが、典夫はしれっと言ってのける。 「兄弟のハグだよ」 「……っ、で、でも、お、お兄ちゃんの、手・・・・・・」  そう、典夫の手はしっかりと知矢のお尻を撫で、揉んでいる。 「だからこれは兄弟のハグだって♡ それより知矢、もうお風呂入ったの? シャンプーの香りがする」  お尻を揉まれ、撫でまわされながら耳元で吐息交じりに囁かれて、体の奥がジン……と疼く。これのどこが兄弟のハグだよなんて思いながらも兄の手をとめることはできない。 「さっき入った」 「一緒に入りたかったな。知矢の裸綺麗だから洗ってあげたいのに」 「……お兄ちゃんの方が綺麗だよ」  丈夫でなく貧弱な体つきの知矢と違い、典夫は適度な筋肉がつき、それでいてマッチョすぎず、とても綺麗な裸体をしている。  知矢が言うと、兄は嬉しそうに笑い髪にキスをしてくれる。 「知矢にそんなふうに言って貰えると嬉しいよ。サンキュ。……じゃ俺も風呂入って来るから。今夜は知矢の部屋で待ってて」 「う、うん」  今夜もお兄ちゃんと抱き合えるんだ……。  そう思うと胸が期待で高鳴る。  典夫は素早く知矢の唇にキスをすると、 「じゃ、後でな」  抱きしめていた体を解放して、バスルームの方へと歩いて行った。  兄の高身長でスリムな後姿を見送りながら知矢は赤面してしまう。  毎日でもお兄ちゃんとしたいって思う僕は凄い好きもの?  二十歳と十六歳、やりたい盛りの年頃である。しかもお互いにこれ以上はないくらい真剣に愛し合っている。お互いがお互いを求めあうのは当然のこと。  だけど純情な弟は一人恥ずかしがるのだった。

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