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第13話 正義の味方兄登場

 二、三歩後ずさり男たちはまじまじと知矢を上から下まで見つめる。  そして知矢の腕を掴むと、 「おもしろい。こいつ裸に剥いてやろーぜ」 「いいなー。んで写真撮ってSNSで拡散してやろうじゃん。だーいじょうぶ。大事なところはちゃんと隠してやるから」 「まじバズるんじゃね?」 「ちょっ……やめてくださいっ」  知矢が抵抗しても手首をつかんでいる男の腕は強く、グイグイとナナ公前から引っ張って行かれる。男たちが向かう方向にはラブホテル街がある。  知矢は血の気が引く思いがした。そのとき。 「いててて! 何すんだよっ」  男が叫び声をあげ、フッと手首が軽くなった。 「それはこっちのセリフだよ。人のものに何しやがる!」  典夫だった。男の腕を捻り上げ、めったに見せない怒りを露わにした表情で立っている。 「さっさと消えろ」  典夫はそんなセリフとともに腕を捻り上げている男をもう一人の男の方へと突き飛ばした。  残念な男二人組は、 「なんだよ、ホモかよ」 「覚えてろよ!」  などと陳腐な捨て台詞を残して逃げて行った。  典夫は知矢の方を振り向き、 「知矢、大丈夫か!?」  心配そうに聞いて来る。 「あ、うん。だいじょぶ。ね、でもあの人たち、バカなのかな? この制服姿なのに僕のこと女の子に間違うなんて。大体僕をナンパするなんて趣味悪いよね」  兄が来てくれたことで安心しきった知矢の天然なセリフに、典夫は、 「あー、自覚なしかよ」  額に手を当て唸った。

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