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第4話 私だけのもの※ーsideカイルー
「じゃああとはお好きなように」
「ーーー…はい?」
目の前でアリシア嬢がオリビアと恋人繋ぎで手を繋ぎ、キスをしながら歩いていく後ろ姿を見て呆然と立ち尽くすエリク。あの二人がそういう仲なのを知らなかったのか?
扉の前で立ったままのエリクの手を引いて私の寝室へと連れ込み、頭がはっきりする前に天蓋ベッドの中へと連れ込んでカーテンを閉めた。部屋の外はすでに侍従長のキャンベルに人払いをさせている。
今日は私とアリシア嬢の初夜のはずだが、それは表向きだ。
アリシア嬢と私は肉体関係がない契約結婚をした。
男 が好きな私と女 が好きな彼女。
お互いの大事な者を、お互いが手に入れるために手を組んだ。あの日…ーー。
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王妃教育が終わり、アリシア嬢と兄上は学園に入学した。エリクは姉のオリビアと共にアリシア付きの世話係として学園の寮に入ってしまったため、なかなか会うことができなくなった。高位貴族は寮の部屋に世話係が置けるのである。私は一学年下なので、学園に入学するまで一年間エリクに会えないのが辛かった。それまでは王妃教育の日ごとに庭園で会えていたのに……。
つまらない毎日を送っていると、こんな忘れ去られたような王子である私の元にも、学園で兄上が自分の婚約者を差し置いて、平民出のイリーナという名の女と勉学そっちのけでイチャイチャしているという話が耳に入った。先日も授業をさぼって二人で街へ繰り出したという……。
王子にあるまじき所業だ。さぞかしアリシア嬢は苦労しているに違いないーーいや、アリシア嬢よりも共にいるエリクがアリシア嬢を心配して苦い思いをしていないか心配だ。兄上め。この国はこんなのが後継だなんて相当苦労するだろう。
その後も王家の馬車にイリーナを勝手に乗せたり、門外不出の国宝を許可なく見せたり、立ち入り禁止の場所へ入れたり、揃いの衣装を着たり、呼ばれてもいないパーティへ参加したり……と枚挙にいとまがないほどやらかしてくれやがっ……ごほん。兄上の悪行は父ーー陛下の耳にも入ることとなり、事実確認のためアリシア嬢が王宮に呼ばれた。
その日、久しぶりにエリクが庭園のガゼボまで足を運んでくれた。アリシア嬢が後で話があると言う。話は兄上とのことだろう。
お茶請けはエリクがバスケットに入れて持ってきた公爵家シェフ作のマドレーヌと、キャンベルが隣国から仕入れたという林檎の葉を使った香り高い紅茶だ。アリシア嬢が戻ってくるまでの間、時間の空いたエリクをつかまえてガゼボでお茶を飲んだ。久しぶりに会うことができたエリクは今日も頬を薔薇色に染めて美味しそうにマドレーヌを食べた。可愛い。しばらく近況報告などの話をしていると二人の淑女がこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。
二人を見てエリクは椅子の音を立てることなく立ち上がった。
「お嬢様、お帰りなさいませ。お疲れ様ですオリビア姉さん」
アリシア嬢はガゼボの入り口まで歩いてくると、長い指ですっとスカートの端を持ち上げた。
「ごきげんようカイル殿下。いつも私の従者がお世話になっております」
優雅にカーテシーをするアリシア嬢はいかにも高位貴族のお嬢様といった風情だ。緩くウェーブした燃えるような赤い髪に意志が強そうな濃紺の瞳。彫りが深い顔立ちで造作が派手な美人だが、その分気が強そうな印象を与えている。今日も全く隙がない。彼女に付き従うオリビアはエリクと全く同じカラーで、顔も双子のように似通っている。でも私にとっては似た顔でも、彼女に興味を惹かれることはなかった。
姿勢を真っ直ぐに戻したアリシア嬢は自分の使用人である二人に向かって下がるように言い付けた。
エリクは私の侍従のキャンベルとアイコンタクトを交わし、姉と共にすっとガゼボから離れ、侍従のキャンベルの横に移動した。あそこなら私たちの姿は見えるが声は聞こえないだろう。絶妙の位置だ。エリクとキャンベルの精神的な距離が近いような気がして少しだけもやっとする。その侍従は二人と入れ替わるようにその場から離れていった。
キャンベルの姿が見えなくなり、場所が落ち着いたところでアリシア嬢は私に発言の許可を求めた。
「あなたは兄上の婚約者で私にとっては義姉です。身内ですから発言の許可は必要ないですよ」
「ありがとうございます」
アリシア嬢は居住まいを正して私に対して爆弾発言をした。
「カイル殿下ってエリクのことが好きなんですか?」
ソーサーにカップを置こうとした手が滑り、がちゃんと大きな音を立てた。紅茶が少しソーサーにこぼれ落ちる。それを見てエリクが溢れた紅茶の始末のためにこちらに来ようとしたのをアリシア嬢が手を上げて止めた。私は動揺が収まらずにアリシア嬢から眼を逸らした。心臓が跳ねて頬が赤くなった。
「やっぱりそうなんですね。じゃなきゃ毎回お茶会に誘わないか」
クスクスと笑って私の表情を楽しそうに見るアリシア嬢の態度と軽い言葉遣いは、王妃教育を終えた公爵令嬢がするものではなかった。これが素なんだろうか。
「エリクもねぇ、あたしの王妃教育の日は機嫌が良いし、誰に食べさせるのかお茶菓子の準備をしているし、満ち足りた顔して色気を撒き散らしてるのよねぇ。まるで誰かさんに恋してるかのよう」
ティターニア王国にも同性愛者は一定数いる。特に騎士団や軍隊など、女性の数が少ない男所帯の仕事場では同性愛は黙認されている。しかしあくまでも黙認であって交際は隠れてするし、結婚も許されていない。
周辺諸国ではすでに同性との結婚を認めている国が出始めており、同性愛者が結婚のために国外へ移住してしまうケースが増えてきた。その中には他国に行かれると困る優秀な人材もいたため、最近では同性との結婚を認めるように法律を変えてほしいとの声が上がっているが、陛下は法律を変える気がないようだ。
「カイル殿下、これからお話しすることは、冗談でもなんでもなく、全て真実です」
そう言ってアリシア嬢が私に信じられないことを話した。自分は転生者で前世の記憶があること、前世では化学者として働き同性の恋人がいたこと、ここは彼女が前世で読んでいた小説の世界であるということ、その小説の世界ではアリシア嬢が悪役で卒業パーティーの日に婚約破棄されること、そしてアリシア嬢は何もしていないのに周りからは平民の女を虐めていると思われていること……。
「前世を思い出してから、あたしの恋愛対象は同性の女の子のみなんです。だから嫉妬してイリーナを虐めるようなこともないし、ウィルフレッド殿下が婚約破棄してくれるのはとても助かるんです」
先ほどまでのアリシア嬢の言葉遣いや言動は前世を思い出した影響らしいと知り、ようやく腑に落ちた。しかし兄上がその小説のようにアリシア嬢との婚約を破棄するつもりだとは……。私たち王族の結婚相手は最低でも伯爵家以上の身分が必要だ。どれほど相手が好きでも、その決まりを無視しての結婚は許されていないはず。それとも王位継承権を捨ててまで相手のことが好きになってしまったのか。しかし婚約破棄などせずとも、もっと上手いやり方が幾らでもあっただろうに……。
思わず大きなため息が漏れた。
「でもみんなにあたしがイリーナを虐めたなんて思われるのは業腹だわ。あたしはそんな低俗で狭量な人間だとみんなに思われるなんて矜持 が許さないの。それに虐めの事実はないわ。あれはイリーナがあたしを陥れようと自作自演しているのよ。イリーナがあたしを陥れようとするつもりならあたしは『ざまあ』してやろうと思って」
『ざまあ』とは幸せの絶頂にいる所をひっくり返し、逆に相手を不幸に堕とすことを言うらしい。不思議な音がする言葉だ。アリシア嬢の前世では『ざまあ』をする内容の小説がたくさんあったとのことだ。
「それで、『ざまあ』とは何をするというのです?」
「まずはこれを見て」
アリシア嬢は自分の指から指輪を外してガゼボのテーブルの上に置いた。すると指輪に嵌め込まれた透明な宝石から光が出て、ある映像が映し出された。
それはイリーナ嬢がいじめを自作自演する映像だった。
「これが先ほどあなたが言っていた……」
「ええ、そうよ。イリーナはあたしが何もしないものだから自分で虐めの証拠を作って、あたしに虐められたとウィルフレッド殿下に伝えているらしいのよね。で、殿下も何も調べる事なくそれを真に受けてるってわけ」
アリシア嬢は婚約破棄をされた後でこの映像をみんなに見せ、イリーナ嬢の虐められたとの自作自演のことと、兄上が好きな女の言うことを全面的に信用した挙句、事実確認をしなかったことなどを理由に王位継承者から外れてもらうこと計画していた。アリシア嬢は婚約を破棄された直後に会場から退出してしまうため、残って二人を『ざまあ』する役を私に頼みたいようだ。
「厳しい王妃教育を終えたあたしは身分的にも年齢的にも、ウィルフレッド殿下が王位継承者から外れたあとに、次の王位継承者、つまりあなたの婚約者となるでしょう。公爵家の令嬢として政略結婚は必ずしないといけないのは分かっているけれど、男に触れられるのだけはどうしても嫌なんです。だからお願いします、あたしと夜の伽は無しでの結婚をして下さい。カイル殿下が王になったらやってもらいたいこともあるし。その代わりに公爵家の後ろ盾と王の座とーー、あなたが一番欲しいあたしの従者 をあげるわ」
アリシア嬢はにやりといたずらっ子のような顔で笑った。やはりこれも深窓の御令嬢がする顔ではない。
「さて、カイル殿下はあたしの優秀な従者を雇ってくれるかしら。結婚して旦那様がいるのにも関わらず異性の従者があたしの近くにいると、何か良からぬ想像をされるかもしれないし。たしかカイル殿下のお付きの方はお一人しかいらっしゃいませんでしたよね?」
私に仕えてくれているキャンベルは優秀だから、私が誰かと結婚したら侍従長に役職が上がる。そうすると後進指導に忙しくなるから、今までのように私の世話だけをする訳にはいかなくなる。ということは今までのキャンベルのように私につきっきりで世話をしてくれる侍従が一人必要だ。
「ああ、その時は私が侍従として雇おう」
玉座になど全く興味はないし面倒だが……。
私だけに付き従う侍従 がずっと傍にいるのも悪くない。
エリクが私のものになるのならば喜んで兄上から王位継承権を奪い取ろう。
「そういえばさきほど言っていた私がもし王になったらやって欲しいこととは……?」
アリシア嬢は今日初めて公爵家の御令嬢らしい完璧な微笑みを私に見せた。
「私たちみたいな少数派の同性愛者が結婚できるように、王になったら同性婚の制定をお願いね」
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天蓋のカーテンを下ろしてしまえば、もうここは二人だけの世界だ。
真面目なエリクのことだ。自分の身分を気にして私の腕から逃げるかもしれない。私は彼が逃げ出さないようにベッドに押し倒し、両手首を持ってベッドに縫い付けた。
「今日から君は私だけの侍従だよ」
身動ぎして私の下から逃げようとするエリクの腕を上から押さえつけ、両足の間に膝を入れる。体格差があるのでエリクの抵抗など可愛いものだ。その合間に額、こめかみ、瞼、首筋、鎖骨へと、上から下に向けて軽くキスをして抵抗力を奪いつつ、エリクの憂いを潰していくことにする。
「私たちが愛し合うことに何か問題があるかな…? 閨の伽はなくとも対外的に私が結婚したのは公爵令嬢で、周りから見れば釣り合った結婚だ。文句も出まい。ああ、エリクが心配しているのは後継のことだね…? それならば何の問題もない。アリシア嬢の前世の仕事は何だったかな?」
「あ……」
ちゅ、と軽く唇を重ねる。エリクの身体から力が抜けていくのを感じる。こんな軽いキスだけで真っ赤になるところが可愛い。早く全てを暴きたいが今は我慢だ。
「アリシア嬢は化学者で、薬の開発の手伝いもしていたそうだ。流石に男性を妊娠させる薬はアリシア嬢でも作るのは無理だったようだが、不妊の女性を妊娠しやすくする薬は作れたとみえる…」
アリシア嬢は既に結婚後のことも考え、後継を作るために薬を開発していた。この世界にはアリシア嬢が生前いた世界よりも薬草が多く、魔石や魔法もあるため、開発するのはそんな難しくなかったそうだ。
「八年前に同盟を結び、国同士の結びつきを強固にするために前陛下に嫁いだ王女がいただろう? 彼女はなかなか妊娠できない事を苦に離宮に閉じ籠もっておられたが、このたびアリシア嬢の作った不妊治療薬でようやく子ができ、来月には産まれるそうだ。魔導検査の結果、男女の双子ということが分かっている。これで取り敢えずは私とアリシア嬢の間に子が出来なくとも何も言われまい。だから君は安心して私のものになりなさい…」
ヘッドボードの棚の上に置かれた陶器から淡く紅い煙がベッドの中に揺蕩っている。甘い香り。頭の芯が痺れるような濃厚な花の香りだ。初夜のために調合された媚薬で、初めてでも痛みを感じさせないようにする作用がある。
だんだんと意識が混濁していくエリクの頬は赤く染まり、吐息に艶が混じる。押さえつけていた手を離しても身体はぐったりとベッドに預けたままだ。目の端が赤く色付いて扇状的な表情を私に見せている。
アリシア嬢に感謝だな。私が一番欲しいものをくれた。薔薇園で初めて会った時から私のものにすると決めていた。
私は噛み付くようにエリクの唇を奪った。
「あっ、あっ、あン、ああ、あっ…」
ずいぶんと長い時間ほぐしてようやくエリクの後孔に指が三本入るようになった。指を中でバラバラと動かせば口から悲鳴にも似た声が洩れる。中のぷっくりした部分を潰すように押さえると、打ち上げられた魚のように背を反らせて身体が跳ねた。
「エリクの良いところはここだね…」
「や、あ、ああ、ああ、あ、あ」
良いところばかりを狙って重点的に責めると、エリクは快楽に涙を流しながら私の首に手を回して縋り付いてきた。私の目の前にちょうどエリクの首筋があるので、その白く柔らかそうなうなじへ吸血鬼のように思い切り歯を立てた。その痛みすらも快楽になったのか、ひときわ大きく声を上げたあと可愛らしい陰茎から白い蜜を吐き出した。
「おや、かわいそうに……。もうイっちゃったね」
「あ、ああ、ああ。ご、ごめんな…さ……」
羞恥に顔を真っ赤に染めて謝る姿にもっといじめたくなってしまう。これが嗜虐心というものなのだろう。エリクはいつも私に色々な感情をくれる。私はエリクの萎えた陰茎を宥めるように扱きながら、埋めていた指を届く一番奥までぐっと押し込み、中をぐるりと掻き回してから一気に引き抜いた。抜いた指にはローションなのか精液なのか分からない粘着質な液がついて濡れている。それをペロリと舐めるとエリクは泣きそうな顔をしてぎゅっと眼を閉じ顔を背けた。
「大丈夫、次はいっしょにイこうね」
エリクを仰向けに押し倒し、両脚を私の肩に乗せて身体を前に倒して開かせると、エリクの全てが私の目の前に曝け出された。白濁を撒き散らしたペニスは緩やかに勃ち上がってはいるが、まだ芯が柔らかい。つっ…と尿道孔に尖らせた舌を入れチロチロとしばらくの間舐め続けると、だんだんと苦い味がしてきて芯が硬く育っていった。
「あ…ああ……や、ん…」
さっきまで指で拡げていた後孔はふちが赤く色づいてはくはくと物欲しそうにひくついている。皺を伸ばすように舌を這わせると、くぐもった泣き声が聞こえた。ああ、涙に濡れた顔はなんて可愛いいんだろう…。酷くはしたくなかったが、エリクの泣き声を聞くと我慢できなくなる。私はトラウザーズをくつろげて性急に下着と共に脱ぎ捨てた。自分で見ても凶悪だと思えるほど血管の浮いた赤黒い私の分身が、涎を垂れ流しながら腹に付くほどに勃ち上がっている。
ひゅっとエリクの口から息を呑む音が聞こえた。
「欲しい? ね、エリク。これが欲しいならねだってごらん…」
エリクにのしかかり、私のものを後孔に宛てがう。中に入れずに焦らすように押し付け、耳元に口を寄せてこうやって言うんだと教えるように小さな声で囁いた。
「ーー…ほら、早く。これ、欲しいでしょ? だったら…ね…。早く挿れて下さいってちゃんとねだってみようか?」
きゅっと指で乳首を摘めばびくりと体が震える。恥ずかしがってなかなか口を開かないエリクの理性をとかすように強めに乳首を責める。再び硬くなったエリクの中心からもカウパーが流れてシーツにシミを作っていた。
「ほら、言わないとずっとこのままだよ…」
「…っや! あ…んっ」
指で触れていない方の乳首を口に咥え、甘噛みしたり舌で舐めて動かすと、その度に身体を震わせてイヤイヤと首を振り指がシーツをぎゅっと掴む。深緑色の瞳から透明な涙が眦から一条流れて落ちた。
「……ださい…」
「ん? 聞こえないよ…?」
切羽詰まったようにエリクの手が私の頭の後ろに伸びてきた。至近距離で見つめ合う。エリクの深緑色の瞳に私の顔が映り、まるで私自身が森の中にいるようだ。苦しそうな吐息が私の頬に触れ、息を吸う毎に小さな声が私の耳に届いた。
「……くださ…い…。はや…く殿下の…おっきい……の……いれ………さい……!」
「私はもう殿下じゃないよ。名前で呼んで…」
「ーー…カ…イルさ……」
掠れた声で自分の名前を呼ばれた瞬間、理性が耐え切れずにエリクの中へ割り入った。時間をかけて散々ほぐした入り口に簡単に先端が埋まった。けれど挿いったのは指が届く場所までで、まだ中は硬く閉じていた。隘路を拡げるために何度か前立腺をぐりっと抉るように出し入れし、力を入れてゆっくりと奥へ、奥へと進めていく。
「やあっ、あ、あ、あっ、ああ、あ」
「……っ、狭いな…」
奥へ入って行くたびにみちみちという音と、精液混じったローションのくちくちという水の音と、悲鳴のようなエリクの喘ぎ声がまるで至高の音楽のように混じり合って聞こえてくる。エリクの腰を両手で掴んで私の腰へと強く引っ張ると、奥まで一気にペニスが挿いっていった。
「ぁぁあああっ! あああ、あっ!」
エリクの背が後ろに反り上がりそうに動いたが、私が覆いかぶさっているためにそれも出来ず、身体全体をガクガクと震わせるように痙攣した。私のものをぐっと締め付け射精促したが、まだ挿れたばかりでイってしまうのもどうかと思うので必死で耐えた。私の腹に熱いものを感じるということは今のでエリクはイってしまったのだろう。
「ん、ぁぁぁ、ぁああ……、………」
痙攣しながら焦点の合わない目を私に向けるエリクはそれはもういやらしくて可愛かった。中は私の全てを搾り取ろうとうねってとても熱くて気持ちが良い。しばらく動かさずに中に私のものが馴染むまで待つと、身体の痙攣がようやく収まっていった。部屋の中には激しい呼吸音だけが響いている。
そろそろ良いかな…、と思ったタイミングで中に挿れたものを入り口近くまで引き摺り出すと、エリクの中の媚肉が逃すまいと私のペニスに絡みついてきた。それを嬉しく思いながら、再びエリクの腰を掴んで今度は一気に届く一番奥へと突き入れた。
「ひっ……、ンぁあっ!!」
今度はさっきよりもスムーズに中まで挿いった。がつがつと激しく勢いよく中に私の剛直を叩き付ける。先端ギリギリまで出し、前立腺に当たるように中に突き入れることを何度も繰り返す。その度に小鳥の鳴くような声が漏れる。かすかな鳴き声を聞くともっともっと酷くしたくなって、中に挿れたままエリクの背中を抱き締め私の身体を後ろに倒してエリクを身体の上に乗せる。
「…やっ、ふか…い…っ! あああああぁァァ…!!」
エリクの身体が自重で下に落ち私のペニスが深くまで入り込む。両方の乳首を摘みながら腰を使って下から上へ突き上げると、私の腹の上に白い水溜りが出来た。
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婚約破棄された悪役令嬢は、婚約者と自分を陥れたヒロインに「ざまあ」をした後、婚約者の弟と結婚しました。
二人には子は出来ませんでしたが、その代わりに二人で協力し、国を自分たちの子供のように慈しみ、愛情を注ぎ込み、大国へと育てあげました。後の世の国民は二人を賢王、賢妃と呼び、崇めました。
そして賢王の傍には侍従が、そして賢妃の傍には侍女がいつも寄り添っていたということです。
ーー小説『宵闇の乙女は蝶の夢を見る』ENDーー
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『お嬢様は悪役令嬢』Fin.
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