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第23話閉じ込めたい★
四つん這いになった俺の後ろから、奏さんの楔が俺を穿つ。
結局、二回目はしないとか言っていたけれど一度スイッチが入ってしまったらしい奏さんは俺を求め、俺もまたそれに応えて身体を開いている。
「あぁ……!」
「ほんと、腰も細いよね。壊してしまいそうで怖いよ」
そう言いながら、奏さんはゆっくりと腰を揺らし最奥を突き立てた。
「あんまり、食べられなくて……う、あ……」
「でも、今日は夕食結構食べてたよね」
「あ……そこ、好きぃ、奥イイ……!」
「うちに来て夕飯食べるようにする? 一緒なら食べられるならそうしようよ」
「う、あ……奥、きてる、奏さ……う、あ……」
腰を掴まれて揺らされ、俺は唾液を口の端から流しながら喘ぎ続けた。
「中に出したいけど……明日講義あるから週末まで我慢かなあ……」
「あぁ!」
中に入れたまま、奏さんは俺のうなじをがぶり、と噛み付き痛みに俺は身体を震わせる。
痛い、なのにその痛みすら快楽に感じ俺は吐息を漏らしてしまう。
「君に残る痕は僕の物だけでいいよ。ねえ、緋彩。僕の所においでよ。僕は君に誰も近づけさせないから」
「そこ、イくから、奏さ……か、あ……うあぁ!」
背を反らし、奏さんのペニスを締め付けながら達すると奏さんは俺の身体を起こし繋がったままベッドに座り俺の身体をぎゅっと抱きしめた。
「僕の名前、呼びながらイくなんて緋彩可愛い」
耳元で囁き、奏さんは俺のうなじをぺろぺろと舐める。
「う、あ……」
どこまでも俺は奏さんに侵されていく。
身体も、耳も――心も。
「君の弟は、何度もこの身体を蹂躙してきたのか」
「乳首、だめぇ……」
奏さんは俺の乳首をこりこりと指先で捏ね、時おり爪を立てる。
イったばかりなのに、俺の身体はすぐに快楽を拾い上げてしまう。
もう二回イかされてる。これ以上は無理だ。
「奏、さん……これ以上、むりぃ……」
「あぁ、明日も講義あるもんね。今日はこのまま泊まって、明日の朝君の家に寄ってから大学行こう? ねえ、そしたらまだ一緒にいられるから」
アルファの執着心はかなり強い。
一度手に入れた獲物は決して離そうとはしないし、自分の巣に囲い込む。
だから奏さんの言う事は、当たり前の願望なんだろう。
でも俺はオメガじゃない。
囲い込まれて嬉しいはずなんてないのに……求められて俺は悦びを感じてしまう。
「奏さぁん……いて、いいの? 俺……」
「当たり前だよ。だって君は僕の番になるんだから」
「う、あぁ!」
番、と奏さんははっきりと言った。
「で、も……俺はオメガじゃ……」
「別に子供がほしいわけじゃないし……僕が欲しいのは君だよ、緋彩」
そして奏さんはペロペロとうなじを舐めた。
蒼也には拒絶しかなかったのに、奏さんに求められて嬉しいと思ってしまう。
俺はこのままこの人に囲い込まれるんだ。ベータでありながら、アルファに抱かれ番にされる。
「だからね、緋彩、君は僕の腕の中で淫らな夢を見ていたらいいんだよ」
「あぁ!」
幸福感に包まれながら俺は、奏さんの熱をゴム越しに受け止めた。
結局、帰ることなどできず、俺は奏さんの部屋に泊まることになった。
帰っても、広い家にひとりきりだ。しかもいつ蒼也が現れるかもわからない家。そこにいるよりは断然ここのほうが安全だし、愛されてる、という実感がとても心地良い。
ずっと、俺にはなかったものだ。
いつもより早く寝たため、早くに目が覚める。
半覚醒状態で辺りを見回し、見慣れない光景に戸惑う。
そしてここが奏さんの家であることに気が付き、俺は隣で眠る彼に視線を向けた。
明るい茶色の瞳と目が合い、自分が彼に抱きしめられて寝ていたことに気がつく。
「あ……」
「おはよう、緋彩」
「おはよう、ございます」
そして、毛布が直に自分の肌に触れていることに気が付き自分が裸であることを知る。
徐々に意識が覚醒し、自分が昨日何をしたのかを思い出した。
そうだ、俺は……奏さんと……
いっきに夜の記憶が蘇り、俺はどんな顔をしたらいいのかわからず、思わず奏さんの胸に顔を埋めた。
「……どうしたの?」
「いや……何か、恥ずかしくて」
「面白いね君は」
笑いを含んた声で言い、彼は俺の髪に口付ける。
何度も蒼也とヤッてるのに、奏さんとの行為は全く違うものに思えた。
それはそうか。
あいつの行為はいつも一方的で、俺の意思は全く関係なかったから。
奏さんは俺の頭を抱きしめ、耳元で囁いた。
「このまま緋彩をどこにも行かせたくないと思ってしまうのは、アルファの性なのかな。オメガじゃない君にそんなこと望んだら、壊れちゃうのに」
蒼也の独占欲はただ仄暗く、怖いものだったのに奏さんには嫌悪感がない。
俺は迷った後、奏さんの背中に手を回してしがみついて言った。
「家は……安全じゃない、から……ここにいる方が俺は、いいです」
いつ現れるかわからない蒼也に怯えながら暮らすのはもう終わりにしたい。
その為には、俺がちゃんと蒼也と向き合うべきなんだけど……まだ無理だ。
なら、少しの間だけ逃げてもいいんじゃないだろうか。
こんな風にぐっすり眠れたのは久しぶりだ。
疲れたのもあるだろうけど……蒼也が来ない部屋は、俺に安心感を与える。
このままここにいられたらどんなにいいだろうか。
でも、家には画材やパソコンなどがある。
課題をやるには道具が必要だし、そう簡単に運び出せるものでもない。
あれを運び出すとしたらもう引っ越すつもりでいないとだろう。さすがにそれはハードルが高すぎる。
「僕は、いつでも君を受け入れるよ。ここ、一部屋空いてるから」
その言葉に胸が高鳴る。
いつでも俺はここに来られる。
そう思えるだけで、気持ちがだいぶ楽になった。
「それで緋彩」
「え、あ、はい」
顔を上げると、奏さんは微笑み言った。
「昨日言ったけど、今日から夕食は僕と一緒に食べようね」
そんな話しをした記憶はないけれど、奏さんに強い口調で言われ、俺はただ、頷くしかできなかった。
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