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また、ここで 4 side優斗

「優斗さん、どれ乗る?」 捺くんの運転で遊園地に着いたのは5時を過ぎた頃だった。 梅雨の時期だけあって曇り空でいまにも雨が降り出しそうだったけど降ることはないまま園内に入った。 いまが6月で、そして2018年なんだって事実がいまだに信じられないけれどもう何度もカレンダーやテレビで見た情報で信じないわけにはいかなかった。 第一、鏡で見た自分が確かに老けてて笑ってしまったくらいだし。 「捺くんは? どれがいい?」 実優の親友だという捺くん。 目が覚めたときからそばにいてくれた捺くんは実際俺が一回りも年上だっていうのに、気にすることなく自然に接してくれる。 俺自身はまだ大学生の意識だから気軽に話しかけてもらえるのが嬉しかった。 昨日まで小学生だった実優が同い年でしかも結婚までしていて―――というのにすごく驚いて、正直慣れるまでに時間がかかった。 松原さんがアルバムを見せてくれたり、実優がいろいろ話してくれて打ちとけはしたけど、やっぱり実優は小学生の姿が強く頭にあるから喋ってると不思議な気持ちになってしまう。 もちろんそれは俺の記憶障害のせいだからしょうがないんだけど。 だからかな、いまの俺としては初めて会う捺くんが傍にいることが逆にほっとした。 「うーん。とりあえずベタにジェットコースター行く?」 園内マップが乗っているパンフレットを眺めながら捺くんがジェットコースターがあるらしい方角を指差した。 「そうだね」 「優斗さん、絶叫系平気?」 「大丈夫。春に遊園地行ったときも実優に付き合ってたくさん乗ったんだ」 ジェットコースターのほうへと向かいながら言って、あっ、って口をつぐむ。 春に、といったってそれは実際今年の春じゃない。 それに―――自分で言った言葉にその時の記憶がよみがえって、姉さんと義兄さんの笑顔が―――……。 「へーそうなんだね。実優ちゃん小学生のころってわんぱくな感じ? 実優ちゃんのママも絶叫系好きだったんだよね」 遊園地でみんなで映ってる写真見たことある、楽しそうだったね、って捺くんが笑顔を向けてきた。 「……うん。楽しかった。姉さんも大好きだった、絶叫系」 事故があったのはほんの三カ月前なのは俺の中でだけ。 思い出すとずきりと胸が痛むけど、 「じゃあ遠慮なく絶叫系乗れるね! 閉園までいろいろ乗りまくろう!」 ダッシュしよ!、と捺くんが俺の手を握って走りだして。 俺は自然と頬が緩むのを感じながら頷いて一緒に駈け出した。 ***

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