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第21話「夢」

「……彰……」 「――――……ん……」 「彰、起きれる?」    優しく揺すられて、意識が戻る。 「亮也(りょうや)……?」 「大丈夫? 水飲む?」 「……ありがと……」  ペットボトルを受け取って、体を起こす。 「……ごめん。…… オレ、どれくらい寝てた?……」 「んー。一時間位かな。今十九時。泊まってくなら寝ててもいいよ」 「……今日は帰る……」  今、夢で見ていた彼の人を振り払うように、軽く頭を振った。  オレの居るベッドの端に、亮也が腰かける。  下だけ履いて、上半身はまだ裸のまま。 「帰るの? 泊ってけば?」  頬に触れてそう言う亮也に、首を振った。 「……明日朝からバイトだから……今日は帰る」  ――――……とてもじゃないけど。  あの夢の後には、そんな気分にはなれない。 「……じゃあ途中まで一緒に行く。飯食お?」 「うん」  ちゅ、とキスされて、頷く。 「シャワー浴びる?」 「……うち帰って浴びる」 「んー……彰の服どこやったかな……あった」  亮也が笑いながら、ベッドの下の方をあさって、服を見つけて、差し出してくれた。 ふ、と笑って受け取った。

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