4 / 53
第4話 Ⅰ章 魔軍宰相オルフェーヴル
「そう、私に教えて下さったのは勇者様ご自身ですよ。勇者ができるのは、勇敢に道を開く事だって。
魔族と人間との和平が結ばれたのも、勇者様が双方に和解の道を開いてくれたからです」
「これからは、魔族も人間も、誰も傷ついたりしない優しい世界を築きたい」
「そうですね。私も勇者様の願いにお力添えができたらと思っております」
「ありがとう。これからもよろしく、オルフェ」
「はい。そろそろ、カモミールティーが良い頃合いです」
「じゃ、俺も!」
元魔王軍幹部・魔軍宰相オルフェーヴルが、俺の側近だ。
(信じられない事だけど)
でも。現実の話。
オルフェは魔王軍を再編成し、人間との共存に必要な公共事業や教育に力を注いでくれている。
本当は、寝る間も惜しむくらい忙しいのに。
甲斐甲斐しく俺の世話も焼いてくれる。
これには、事情があって〜〜
俺だって、ちゃんと役に立たないと!
オルフェに呆れられないように。『できる勇者様』の実力、見せないとね。
まずは……
「布団をたたみます!」
「ベッドメイキングでしたら、後で私が致しますよ」
「いえ、俺が!……わっ」
ムギュン
布団をめくろうとして、体勢を崩して倒れた体が、シーツの中で何かを掴んだ。
ムギュムギュン
何これ?触り心地いい。
ムギュン♪
ともだちにシェアしよう!