12 / 53

第12話

 勇者の功績を讃え、勇者博物館を建造する。  王都はこのニュースで盛り上がっているらしい。  勇者の剣  勇者の鎧  勇者の縦  を、館内に置いて、中庭には勇者像の噴水を造って、都民の憩いの場にするのだとか。 「恥ずかしすぎる〜」  俺、勇者博物館を造ってもらうために魔王討伐したんじゃない。 「けれど盛り上がっていますよ。王様は特に。王の絶対勅令を公布して予算を付けたのだとか」  そのせいで大臣達が東奔西走、大慌てらしい。 「勇者博物館の初代名誉館長は、王様らしいです」 「ううう〜」  なんでこんな事になっちゃってるのか?  王様は超乗り気だ。 「勇者様は王様に気に入られておいでですね」  ゾクッ (なに?)  今、ゾクって……オルフェの視線に冷たいものを感じたのは気のせい? 「あのっ、平和になった世界で、何か勇者に関わるものを後世に残したいんじゃないかな?これからもずっと世界が平和でありますようにって」 「……そうかもしれませんね」 「そうだ。王様から宿題出されてたの忘れてた」 「宿題……ですか?」 「人間の世界には学校があって、先生が生徒に課題を出すんだ。それが宿題」  俺は王様から宿題を貰ってて。  はぁ〜  溜め息がついて出た。  勇者博物館  最初の展示コーナー『勇者の生い立ち』 「生い立ちって言われても……」  何も覚えてない。 「どうしよう〜」

ともだちにシェアしよう!