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第21話
「僕の声は君の耳の中だけだ」
低い吐息が耳のひだを撫でた。
「君にしか聞こえない。これならいいかな?」
こくり
頷く俺。どうして頷いちゃったの〜★
でも、こんな状況では頷くしかなくて。
「ありがとう」
肩を抱かれて、耳たぶを食むようなキスが施される。
「耳が熱いよ。おや……顔も真っ赤だね」
「だって」
「なに?」
「王様が恥ずかしい事するから……」
「恥ずかしい事ではないよ。可愛い君を愛でるのは当然の事だ」
俺、全然かわい可愛くなんかないのに。
王様はいつもこうして、俺をからかってくる。
「それで?結界を破損させ、不法侵入された陛下は、次はどんなセクハラを勇者様にされるおつもりですか」
「わわっ」
突然強い力で腕を引っ張られたかと思ったら、俺、オルフェの腕の中にいる。
「おや?結界なんてあったのかい?だとしたら、随分か弱い結界だね。気づかなかったよ」
「なるほど。デリカシーに欠けるあなたには、少々物足りなかったようてすね。破壊した瞬間に『結界の牙』で閉じ込めて差し上げても良かったのですが……次回からは、そうしましょう」
「魔軍宰相殿。君にできるのならね」
バチバチバチッ
俺を挟んで火花散ってない?
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