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第26話
「とにかく!」
手近にあった花瓶の葉っぱを掴み取る。
もちろん葉っぱは、俺の大事な場所へ。
プライベートゾーンを隠さなきゃ。
「勇者様。葉っぱは装備するものではありませんよ」
うるさい、オルフェ!
元はと言えば誰のせいで、勇者が葉っぱを装備しなくちゃならなくなったのか、よく考えろ。
「返して下さい」
「何を?」
何をじゃない。王様。
あなたの手の中の物!
「おパンツです」
「あぁ〜」
あぁ〜じゃない。王様。
おパンツは人としての尊厳を守る極めて重要な装備品なのだ。
「どうしようか」
そこ、悩むところじゃない。
「恥ずかしいです!」
妙齢の男子がすっぽんぽんとは恥ずかしすぎる。
「その事だったら心配いらない」
「私達は全く恥ずかしくありませんよ」
「ヒャッ」
右手を王様。
左手をオルフェ。
二人に掴まれて、持ち上げられてしまった。
ばんざーい
こんなの妙齢男子のする格好じゃない!ひーん。
バサ
右手が葉っぱを落としてしまった。
包み隠すものは何もない……
一糸まとわぬ、生まれたままの無垢な姿に戻ってしまった。
「「素敵だよ」ですよ」
なにが!
すっぽんぽんが素敵なものかーッ!
「オルフェ」
「はい」
「王様」
「なんだい」
「反省しなさいーッ!!」
無詠唱・勇者最高位呪文
「白夜の咆哮!!」
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