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5、ある意味、縁結び

「……いっぺんでいいから! エッチさせてくださいお願いします!!」 「はっ……はぁ!? なんだお前、さっき除霊って……」 「もちろんそういう意味もあるけど! けど、こんなの目の前にしてしもたら、もう……ナカに欲しくて」 「中って、俺がお前に挿れるってこと?」 「うん。泰ちゃんは寝てるだけでええから! 俺の中に挿れてください!!」  がば、とベッドに頭を埋め込む勢いで土下座をする俺……。もはや除霊どこいったと状況ではあるが、こんなになった愛しの泰介を目の前にして、ただ指を咥えて見ているだけなんてもう無理だ。  今後縁が切れてもいい。今日のことをいい思い出として、胸に抱えて生きていく。だから今だけ、泰介に抱いて欲しい。 「馬鹿野郎キモいんだよホモ野郎がっ!」などと罵詈雑言が飛んでくることも覚悟の上だが、思いのほか優しい声が、頭上から降ってきた。 「……土下座なんてしなくてもいいって。やめろよ」 「泰ちゃん……」 「いいよ。挿れられるのは嫌だけど、ヤるほうなら、全然……」 「エッ……!?」  がば、と顔を上げると、さっきよりも頬を艶やかに火照らせた泰介が、潤んだ瞳で俺を見つめている。 「え、ええの……?」 「いいよ。……それに俺、早く出したい。身体中、ぐるぐる変な感じで、すげぇつらい」 「あっ……そ、そやんな」  キモデブの霊障が、まだ泰介の中で燻っているんだった。俺はごくりとよだれを飲み下し、ゆっくりと、泰介の上に跨った。  やや緊張の面持ちで俺を見上げる泰介を安心させるように、逸る気持ちを抑えて微笑んだ。すると泰介の表情がやや緩む。 「てかその……痛くねぇの?」 「大丈夫やで、慣れてるし……」 「は? 慣れてる?」 「あっ……いや、ひとりでする時、たいがいお尻いじってまうから……」 「……」 「あっ引かんといて! そ、それに、ナカまで綺麗に洗ってあるから大丈夫やからな!!」  禊(シャワー)のときに、中まできれいにしておいた。ローションはないけれど、泰介の雄芯は体液と俺の唾液とでぬるぬるに濡れている。  アナニーに慣れているとはいえ、こんなにも大きなモノを受け入れるのは初めてだ。元彼のだって、こんなに大きくなかった。  ——除霊の一環。泰介のため。ふぅ……落ち着け俺……。  さっき散々舐め回したあの尖った先端が、くぷっ……と俺の窄まりの中に入ってきた。待ち侘びた感覚だ。このあとにどんな快感が俺を支配してしまうのかと想像するだけで、きゅうんとナカがひくついてしまう。 「っ……うっ……いきなり締めんなって……」 「ご、ごめん……。泰ちゃんとエッチできるんかと思ったら、なんやもう……挿れる前からイキそうやねん……っ」 「そんな、大げさ……」 「おおげさちゃうよ。……ァっ……だってほら、……んんっ……ァ」  ゆっくりと腰を落として、泰介の剛直を迎え入れてゆく。挿入が深まるにつれ、泰介は「っ……なにこれ、すげ……」と熱い吐息を漏らし、俺の腰をぐっと掴んだ。 「ハァっ……ぁぁ……ん、おっきぃ、スゴイ……」 「っ……なんだこれっ……。きついのに、やわらかくて、うねって……」 「ン、ァ、あ……はぁ……すごい、どんどんナカ、入ってく……」  元彼のモノでは届かなかった場所まで、硬く太いもので満たされてゆく。やがて、尻が泰介の股座にくっつくと、泰介のものを奥まで受け入れることができた悦びに、身体中が喜んでいるのがわかった。 「ん……泰ちゃんの、おっきぃなぁ……ここまで、はいってるよ……?」 「っ……」  うっとりと微笑みながら下腹をさすると、泰介の表情が急に険しくなった。何かを堪えるように唇を結んで眉間に皺を寄せ、俺をきつく睨みつけてくるのだ。  だが、怖くはない。だって泰介の表情には余裕がないし、喘ぎにも似た浅い吐息で、射精を堪えようとしているのがわかるから。  ぐん、と下から腰を使われて、俺は思わず「ひゃぁっ……」と声を上げた。ゴリっと前立腺を内側から擦り上げられたせいで、鈴口からびゅびゅっと体液が吹き出してしまう。 「ァっ……!! ぁっ……どしたん、きゅうにっ……」 「わかんねーけどっ……なんか、イラついてっ……」 「ぁん、ぁっ、ンっ……そんなにされたらっ……すぐイってまうって……ッ、ぁっ、あんっ……!」 「いいよ、イケばいいじゃん、メスイキっていうんだろ? そういうの……っ」  ずんずんずんずんと、俺の体重などものともせずに腰を突き上げてくる泰介の激しさにおされ、身体を支えることができなくなった。  くたっとなって泰介に抱きつくと、さっきよりも強い力で腰を抱かれて、さらに挿入が深くなる。 「あ! ぁんっ、ァっ……たいすけっ……ン、や、ぁっ……」 「ああ……イキそ。いいんだな、ナカで出しても……」 「うん、ええよ……っ、おれんナカ、いっぱい、いっぱい出して……っ!」  泰介を抱きしめながら涙声でそう訴えると同時に、びゅる、びゅるると、最奥で熱いものが爆ぜるのがわかった。  最奥に種付けでもしてやろうといわんばかりに、奥を狙って腰を揺らす泰介の野生味溢れる腰遣いがたまらなくエッチで、俺はつられるように中イキしていた。 「んんっ……ンっ……すごい、いっぱい……」 「くそっ……まだ萎えねぇ……。もう一回、してもいい?」 「えっ……もっとしてくれるん!?」  喜びのあまり顔を輝かせる俺を見て、泰介がふっと気の抜けたような顔で笑った。不意打ちの笑顔はあまりにもかっこよくて、可愛くて、胸のときめきと連動してナカまできゅんと締まってしまい、泰介が「っ……」と息を吐く。 「どーなってんのお前んナカ……めちゃくちゃ気持ちいいんだけど」 「……わ、わからへんけど……ァっ……おれ、たいちゃんとエッチできて……んっ、うれしいから……」  奥まで嵌められた状態で前後に腰を揺さぶられ、そのたびに快感が腰を跳ねさせる。俺のそんな反応をどこか珍しそうに見つめながら、泰介はいきなり、俺の乳首をぎゅっとつねってきた。 「あんっ! ぁ……ちょっ……ンっ、ぁ……っ」 「すげぇツンツンになってるじゃん。乳首感じるんだ、誰に開発されたわけ?」 「ァっ……ん、これはっ……元彼、とか、自分でっ……」 「へー、元彼。ああ……新歓のときに言ってたのって、ひょっとして男だったのか?」 「んっ……うん、そう……っ、アッ……!!」  ぎゅう、とキツくつねられ、俺は全身をびくびく震えさせながら吐精してしまった。中からも刺激を受けているというのに、敏感な乳首までいじられてしまってはたまらない。俺は思わず泰介の首に縋りつく。  すると、泰介は再び下から俺を穿ち上げ、ざらりとした指先で俺の乳首を転がしたり、つねったりと責め立て始めた。 「ぁん! んっ……、ァっ……!」 「エロい身体だな……。高校んときからこんななの?」 「ンっ……そんな……わからへんっ……」 「ナカもこんな。俺のことしゃぶりつくすみたいな……っ、はぁ……」  どさ、とベッドに押し倒され、対面座位から正常位になった。今度は真上から深いところを抉るように責められて、俺は快楽のあまり涙を流しながら、自らも腰をしならせる。 「ぁん、ァっ……はぁっ……イイ、おく、きいもちいぃ……っ」 「エロすぎんだけど。……なぁ、これも幽霊のせい、とかいうわけ……?」 「たいちゃんは、そうかもやけどっ……、おれは、俺はっ……ァん、きもちいいよぉ、っ……!」  涙声になりながら見上げると、泰介はまた怒ったような顔で眉を顰め、さらに激しい動きで俺を穿った。パンパンパンパン!! と獣じみた荒々しい音が部屋に響く中、俺はまたナカでイカされて、シーツをきつく掴んで泰介を内壁で締めつける。 「いく、いくぅっ……んんんーーっ……!!」 「っ、はぁっ……はぁ。くそ、またイカされた」 「んん……たいちゃん……俺んナカ、きもちええ……?」 「……気持ちいいよ、めちゃくちゃ」 「へへ……やった」  泰介が喜んでくれるのが嬉しくて、俺は涙や鼻水でひどい顔のまま、へらっと笑った。  すると泰介は呆れたような表情でため息をつきつき、ずるん……とたっぷりの精液で濡れたペニスを俺から抜き去る。  ごぽ、と白濁が溢れ出す感覚に、俺は微かに身震いした。せっかく奥で出してもらった泰介の体液がもったいない。 「シーツ、濡れちゃった……。いっぱい出たんやね……」 「お前……そういうエロい台詞、狙って言ってるわけ?」 「そう? エロかったやろか」 「……はぁ。俺も頭へんになっちゃったのかな」  あぐらをかき、ティッシュで濡れたものを拭きながら、泰介がため息をついている。  なんとなく離れがたくて、俺は上半身をのろのろとシーツから起こすと、泰介の背中にそっと額をくっつけた。 「……ありがとう、エッチしてくれて」 「いや……別に。俺もよかったし」 「ふふ。……ええ思い出になるわ。ありがとうな」 「……」  一度だけという約束だ。  泰介はそもそもノンケ。今回のセックスは、あのキモデブ色情霊のおかげで成立した事故のようなものだ。  そう思うと、中に出してもらった精液をかき出してしまうことさえもったいない。つねられた乳首の甘い痛みであるとか、遮二無二ぶつけられた欲望を受け止めた腰の痛みさえも愛おしく、そして切ない。 「ほな俺、帰るし。シャワーだけ貸し……」 「なぁ、倫」 「……ん? どした?」  立ち上がりかけた俺の手首を、泰介がぐっと掴んだ。そしてそのまま引き寄せられ、つんのめった拍子に唇が柔らかなものに触れて——……。  だがそれは、数秒足らずですぐに終わってしまった。よろめいた俺は、なぜだか泰介の腕の中に収まっている。 「えっ、はっ!? ちゅ、チュー……っ!?」 「このままおしまいってのは、ちょっとスッキリしねーだろ」 「はい? あ……まだ足りひんかった? せやんなぁ、色情霊の霊障って大変やし、」 「そーいうことじゃなくて!!」  ぐい、と肩を掴まれて泰介のほうへ向きなおらされる。泰介はいやに真剣な顔で、じっと俺を見つめていた。 「こんなセックスされて、はい今まで通りってわけにいくかよ」 「う、うーん。……ごめん、せやんな。なるべく俺、泰介に近寄らんように……」 「だからそうじゃなくて!!」  今度はぎゅっと抱きしめられ、俺は目を白黒させながら酸欠の金魚のように口をぱくぱくした。 「泰ちゃん……」 「付き合おうよ。……お前さえよければ、だけど」 「は、はい!? け、けど泰ちゃん、俺男やで!? ゲイなんやで!?」 「わかってるよ。けど、俺……さっきからお前のことが、可愛く思えてしょうがないんだ」 「そ、それは……」  色情霊の影響、と言い切ってしまいたいところだが、それ以上言葉が続かない。  もし、泰介の気持ちが本物ならば、どれだけ嬉しいだろう。どれだけ幸せだろうかと、心がふわふわ高揚している。 「俺、お前が気を使って俺から離れていくのも嫌だし、何もなかったような顔で今まで通りってのも、なんか嫌だ」 「……う、うん」 「それならちゃんと付き合って、この気持ちの意味とか……ちゃんとわかりたいって思う」 「……」  たとえ霊障に浮かされた仮初めの言葉だとしても、泰介からの言葉はあまりにも嬉しかった。  だが、俺はそこまで楽天家ではないのだ。  一週間ほど時間を置いて、それでも泰介の気持ちが変わらないようならば付き合おうと話をつけて、その日は別れた。     +  そして、一週間後——……。 「ン、っ……ァ、っあん、っ……」 「倫、ちゃんとこっち見ろ。……ほら、顔背けんなって」 「だ、だめって……、ぁん、っ……イキ顔、見られたないもん……っ!」 「何言ってんだよ、かわいいよ。キスしてやるから」 「んん……、ふぅ……も……あかんて、そんなっ……奥ばっか……っ!」  なんという僥倖か。  一週間経っても、泰介の気持ちは揺らがなかった。  おそらく泰介が俺とそうなってもいいと思ったきっかけは、あのキモデブ霊……もとい、色情霊様がもたらした霊障に違いない。  キラキラと空に消えていったキモデブ霊様を思い出すたび、天に向かって拝みたくなる。 「あん……っ、イク、イク、っ……ン……!!」 「ははっ……お前のイキ顔ほんとクる。エロすぎんだけど」  ばちゅばちゅばちゅ、と結合部をかき回すように腰を振る泰介を見上げると、ふっと愛おしげな笑みが降ってきた。  そして泰介は身をかがめ、俺の大好きなエロいベロチューで、めいいっぱい俺を甘やかしてくれる。 「……んぅ……すき、泰ちゃん、すきやで……すき、すき」 「わかったわかった。俺もだよ」 「ほんまかいな。誠意がつたわってこーへん」 「ったくお前は毎度毎度……。……好きだよ、マジで」 「ふへっ……♡」  セックスという生気溢れる行為がさかんに行われているこの部屋には、あれ以来、どんな霊も寄ってこなくなった。 『いっぱい、いる』  おしまい♡ ˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚ 40度近い暑さにグワッときて、勢いで書いたお話でした。楽しんでいただけたら嬉しいです。 最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました!

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