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第18話
一対一のビデオチャットに切り替わった一護 と古田。
「本当にすいませんねぇ、うちの鳩森 が」
相変わらずヘコヘコしている古田。しかし一護は顔つきが変わった。
「古田さん、ちょっとお仕事の話から逸れていいかな」
「は、はい……なんでしょうか」
古田はゴクリと唾を飲み込んだ。
「あなた、わざとやったでしょ」
「な、なにをですか?」
「鳩森くんのデータを勝手にいじってミスだと言ってやり直させた」
「そ、そんな時間のかかるような無駄な作業をしませんよ、ふつうは」
古田の目は泳いだ。一護は机を叩き、カメラに前のめりになって覗き込む。
「あなたの経歴……昔SEも経験していているからそれなりの知識はある。それにさっき、時間のかかるようなとか言ったけど……時間かけてまで寧人 をいじめる為にデータいじくり回してたわけ?」
古田は顔が青ざめる。
「ふふふ、あなたは人が困っているのをみて快楽を得るタイプ。そうよねぇ……リンくん」
「下の名前では呼ばないでくださいっ。しかもリン……くんっ、て!!!」
「だってそう呼ばれていたじゃない、可愛いじゃない、古田倫悟……超ドSの癖にベッドの上では前立腺責め大好きドラ猫ちゃん……最近あそこにはいってるの?」
古田は驚き椅子から落ちた。一護はその様子をカメラ越しにみて笑う。
「しゃ、社長……!!!」
「あなたこのカード知ってるわよね?」
一護は黒いカードを見せた。ホログラムで光っている。古田は腰を抜かす。メンズマッサージ店の会員証であった。バタフライスカイ。
「僕ね、美容院のオーナーだったけどさ。他にもマッサージ店経営してたわけよ。メンズ専用の……で、うちの店でちょっと噂になっていた人がいて、言葉攻めは酷いくせにマッサージを始めた途端甘えてきてくるキツネ目のお客様がいるってこと思い出したの……」
「!!!」
「調べたらあなたのお名前が……ねぇ、リンくん」
「や、やめてください……それにその話……」
「ねぇ、鳩森くんのこといじめた気持ちはどうだった? 彼の困った顔で抜けた? 朝のビデオチャットで悶える彼をみて興奮した? この変態がっ」
「ごめんなさいっ! 僕がデータを書き換えて……鳩森を、鳩森さんを困らせましたっ! だからその、そのっ」
古田はカメラの前で土下座をする。床を頭に擦り付ける。
「僕はそこまでするとは思わなかったわ……気に食わない」
「許してくださいっ! どうすれば許してくれますでしょうかっ」
古田は泣き出した。一護はため息をつく。がすぐに、ニヤっと笑った。何かを思いついたようだ。
「まずはしっかり鳩森くんに謝って。そして……」
「そして……?」
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