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第46話

 寧人(よしと)は部屋から出て古田を待つ。ドラゴンが他の人の匂いもすると言われ気にする。 「そんなに匂うのか?」 すると古田も出てきた。すっきりとした顔だ。 「おう、いくぞ」 「は、はい……」 「あの、聞きたいことがあるんだけど」 「なんだ」  古田がさっきまでいた部屋のドアを見る。 「……今度、店長にしてもらいたいなって」    寧人がそういうと古田は苦笑いした。 「ああ、いいんじゃないのか? 彼も寧人のこと気になってた」  そう言われると寧人はドキドキした。 「童貞くんを卒業させてあげるって」 「えっ……」 「でも」  と古田は寧人のお尻を掴んだ。 「僕が寧人の一番初めがいいな」  ジトッとした目で見つめる古田を寧人はおでこにキスをした。 「そんな目で見るなよ」  照れている寧人。 「リンちゃん……忘れ物」  部屋からバスローブ姿の頼知(らいち)が出てきた。もちろん仮面をつけているから寧人は気づいていない。  頼知は古田に忘れた名刺入れを渡し優しくキスをした。そして寧人の方も見る。 「今度またきて……」   仮面から見える口元のピンク色、口角が上がり寧人はどきっとする。  車に戻り、古田にまたコンビニでおろしてもらった。 「なぁ、僕って匂いなんかする?」  寧人はドラゴンの言われたことを気にして古田に聞いてみた。 「もちろん寧人の匂い、わかるよ。あった頃よりもなんか匂いは変わった感じがする」  「ええっ……そんなに匂い違う?」  寧人は服を匂う。服からは柔軟剤の香り。一護と同棲してから洗剤や柔軟剤も変わった。それなのか? とクンクン匂う。 「服の匂いもだけど身体から匂う匂いも変わってる。いいもの食べてるな、誰かにおいしいものを食べさせてもらってる……そんな匂いに」 「じゃあ前までは……あまりいい匂いじゃなかった?」 「ん、ちょっと清潔感なかったな。今だから言える」 「それは参った」 「ふふっ、でも元の匂いはそのまま。悪くないし、寧人の匂いって感じ」 「加齢臭か?」 「おじさまの匂い」  そう言いながら古田は寧人のうなじを触る。 「好き、気にしなくていいよ」 「……そうか」  そして別れを告げて車から降りる。古田はいつものように名残惜しそうに寧人を見つめるが。  古田は車から降りて寧人の跡をついていく。 「会社のデータから住んでるマンションも調べたんだよ……最初からそうすればよかった」  歩いて十分、寧人はマンションについて入っていく。それをみて古田は駐車場に行くととある車を見つける。それはみたことのある車。 「菱社長……いや、イチゴの車……」  そして自転車置き場。そこには一護(いちご)の自転車もある。古田は知っていた。 「これもイチゴの自転車。社長になってもまだ乗ってるんだね……」  ニヤっとわらう古田。そしてマンションを見上げる。 「まさかイチゴと寧人が同じマンション……ねぇ」  一護の自転車のサドルを触る。 「このサドルの上にイチゴが座るの……ああっ、いやらしい形……卑猥だわ」  と艶かしく触る。 「思い出した……寧人の柔軟剤の匂い……イチゴと同じ。微かに匂うあの香り、同じ……」  

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