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第14話

シェアハウスまでの道中複雑な道のりもなく、付近の景色などを記憶しつつ僕達は無事に帰宅した。 ほんの数十分の間だったが、入間君から『千里君』と呼び名は変化し、堅苦しさを感じると敬語は崩して話す仲になった。 「あ、ただいま!あっくん」 「……おかえり」 玄関に入ると、丁度自室へ移動しようとしていた北里君の姿が。 千里君の声にこちらを一瞥(いちべつ)した北里君は、少しの間を置いてからそう一言だけ発した。 「た、ただいま北里君」 「………」 試しに僕も声をかけてみたが案の定スルー。そのまま自室の方へと消えて行ってしまった。 「やっぱり僕嫌われてる?」 「ん〜…ちょっと人見知りなだけだよ」 僕の呟きに反応した千里君はそう言っているし、昨日の水瀬さんも"気にすることはない"と言っていたけど、同年代の千里君にはそれなりに心を開いている感じがした。 (少し寂しいかも…) 妙な疎外感を胸に抱きつつ、僕達は着替えの為にそれぞれ自室へと向かった。

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