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第9話
食事の後、終始黙り込んでいた北里君は、食器を下げて早々に自分の部屋へと戻ってしまった。
今僕は、厨房で水瀬さんと共に皆の食器洗いをしている。
「はい、じゃあこれ最後ね」
言いながら最後の1枚を洗い終える水瀬さん。
「ねぇねぇ終わった?かややん」
そのタイミングを見計らったかのように扉を開いて顔を覗かせたのは、リビングで寛いでいた入間君だった。
「うん、今終わったところだよ千里君」
「じゃあ、おみみんに部屋案内して来てもいい?」
「臣君がいいって言ったら構わないよ、どう?臣君」
どうと言われても、僕に話を振った途端大きな目をキラキラと輝かせてこちらを見ているのだから、断りようがない。
「うん、僕は全然」
「やった!じゃあ早速れっつごー」
僕が了承するや否や、入間君は僕の腕をグイグイと引っ張り厨房を出て行こうとする。
「ふふ、また後でね。臣君」
「はい!」
そんな僕たちの様子を面白おかしそうに眺める水瀬さんに手を振り、厨房を出た。
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そして入間君と訪れたのは、2階への長い階段を上って曲がった先。続く長い廊下の途中にある部屋だった。
道中いくつか部屋があって迷いそうだと僕が漏らした所、掃除の時以外は基本使わない部屋に鍵をかけているそう。
「あ、そうそう。俺も同じ2階に部屋があるんだ。ここに住んでる皆それぞれに、自分が希望した部屋が割り当てられてるんだ」
「なるほど、それでも部屋が余るんですね」
「うん、そうなの。俺の部屋の場所は後で教えるから、今はまず臣君の部屋にご注目!」
と、楽しそうにはしゃぐ入間君の手によって開け放たれた白い扉の向こう。
「うわぁ…広い」
「でしょ?俺も最初はびっくりしたんだぁ」
部屋の内装はまた想像を遥かに超えていた。
中庭を臨める両開きの窓に、1人で寝るには有り余るようなベッド。
更にその部屋の空間も1人では広く感じるもので、その他様々な家具が設置されていた。
「じゃあ次は俺の部屋に行こ!」
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