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キョウ第5話

 実は親父も今、男性と付き合っている。 親父は男も女もどちらもいけるバイセクシャルだ。 レンさんは、親父とは一回り近く離れた20代後半のスレンダー美人。 見た目はクールビューティだが、ツンデレ属性なかわい子ちゃんだ。 中身はちょっとアスに近いかもな? 「いやっ、お前あれは・・・」 「はい、はい、分かったから。親父の恋愛事情なんか聞きたくねぇよ。いいからオレとアスの事にも口出すなよ。」 「おう・・そうだな。んじゃ、復縁祝いにプレゼントをやんよ。 おれ、今週の土曜、こっちの野外デイ パーティーでライブした後、隣の県のクラブでやるパーティーにもライブで呼ばれてんだわ。どっちもソロで。んでせっかくだし、レンとゆっくりして来るから帰りは日曜の夜な。」 「で、まぁ、アスラちゃんももう高校生だ。その辺のもん勝手に触ったりしねぇだろうし、ウチに呼んでもいいぞ。アスラちゃんの予定が空いてたらだがな。 あっ、もちろんおれの部屋と機材ルームには入れるなよ。」  オレの家には親父の音楽活動のための機材が溢れている。 基本的には機材ルームにまとめてあるが、リビングに置きっぱなしになっていることも多々あったので、子どもの頃は家に友達を呼ぶのは禁止されていた。 まぁ、アス以外に家にまで呼びたいヤツはいなかったし、アスとはアスの家で遊べたから何の問題もなかった。 なのでアスはちゃんとウチに上がった事がない。 親父の留守中にこっそり玄関からチラ見させた事があるだけだ。 「へぇ?親父にしては気がきくじゃねぇか。ありがたく使わせてもらうよ。」 「・・・そのデイ パーティーって未成年OKのやつだよな?」 「おう。公園でやる飲食とフリマメインの無料フェスだからな。お前も子どもの頃よく行ったろ? あぁ、アスラちゃん連れて来るつもりか?まぁいいけどよ。」 「その後ウチに呼んでも無理強いはするなよ。合意があるとこまでだけだぞ。」 「分かってるよ。必ず“合意”のもとに・・な。」 「うっわ、お前ほんと怖いわ~。大丈夫かよアスラちゃん・・・」  ビールを飲みながら次々と飯を平らげていく親父を余所目に、オレはすでに今週末に想いを馳せる。  やっとアスを本当に抱けるのか。  合意な。合意は確実に取り付ける。 ここで本気を出さなくてどうするんだよ。 これで失敗するようなら何のための掌握術か分からない。 絶対にアスからも求めてもらえるように仕掛ける。 これは決定事項。 ここまで待ったんだ。最高のシュチュエーションでいただかせてもらおう。   「おいおい、妄想くらい好きにしてもいいが、マジでアスラちゃんの気持ちを無視してがっつくなよ。」  あぁ、楽しみだ。 かわいいかわいいアスがこの手に堕ちる。 何してやろうか。何をしてもかわいいだろうな。 「あぁ、ダメだこりゃ。おーい、帰って来~い。やっぱり止めるべきなのか・・?うーん、まぁいいか。こいつもそこまでバカじゃねぇだろ。」 「お前、何をするにしても自分で責任をとれよ。オレも出来る限りはフォローしてやるが、最終的にはすべてお前の責任だ。覚悟して口説けよ。」  親父の声が聞こえる気がするが・・・ 週末が楽しみすぎるオレの耳には入ってこない。 どうせアスの気持ちを大事にしろ、とか、責任を持てとかだろ?重々承知だ。 あぁ、本当に楽しみだ。

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