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第11話
冷蔵庫にあった食材で豚キムチを作って、二人分を盛り付けていると、インターホンが鳴った。
ドキドキしながら玄関に行って扉を開けると、ヒロ君が少し厳しい顔をして立っていた。
「……ただいま」
「おかえりなさい」
玄関に入った彼は靴を脱いで、僕の後ろをのっそりついてくる。
「──蒼太」
「うん」
リビングに来ると、ヒロ君はじっと僕を見つめていた。
ご飯より先に話だなと思って、ソファーに座る。
「今日の昼、ごめん。カッとなって濱田さんとご飯、行った。」
「ああ……うん。」
忘れかけていた二人出歩いていた姿を思い出して、少し胸が痛い。
「でもやっぱり、俺……蒼太と目が合ったとき、蒼太が凄く辛そうで、だから……それはすごく間違えたなって思って……」
「ヒロ君が謝ることないよ。僕がそうすればって言ったんだし、そもそも……今回のことは僕が悪いって思ってる。ヒロ君はいつも僕の意見を聞いてくれるのに、僕は全く……自分のことばかりだった。」
俯いていた顔を上げ、ヒロ君を見つめる。
近づこうとして勇気が出なくて、そのまま口を開く。
「ごめんなさい。凄く酷いことを言った。」
「……俺、蒼太以外抱きたいなんて思わないよ。」
「……うん」
ふぅー……と息を吐いたヒロ君。
ちらっと僕を見てそっと微笑む。
「感情的になってごめんね。」
「ぁ……ぼ、僕の方こそ、ごめんなさい……っ」
今度こそ勇気を振り絞り彼に近寄る。
そっと手に触れると、ヒロ君は困ったように笑って僕の手を両手で包んだ。
「仲直りしてくれない?」
「も、もちろん……!」
「よかった」
「わっ!」
突然彼が脱力して僕にもたれかかった。
僕よりも大きい彼は重たくて、後ろに倒れ込む。
彼の背中をトントン叩くと、体を起こして僕を見つめ、触れるだけのキスをされた。
「……ぁ、あの、ヒロ君……」
「なに?」
この間とは随分違う、柔らかい声色。
おかげで安心して想いを伝えることが出来る。
「今日、は……シない……?」
「えっ!?」
「エッチ……しない?」
驚いた顔をする彼は急いで僕から離れようとして、それを慌てて止める。
「な、なんで……いや、だって蒼太……平日は嫌だって……」
「でもずっとそうしてヒロ君に我慢させてたから……。それに僕、ヒロ君に触られるの嫌じゃないよ。むしろ好き。」
「……」
「……嫌?」
「嫌じゃないけど……。俺に無理に合わせなくていいんだよ」
困惑している彼はそう言って、また我慢しようとする。
でももうそれはダメだって、今回のことで学んだから。
「無理に合わせてなんかない」
少し声を張って言えば、僕の気持ちが伝わったらしく、ヒロ君は嬉しそうな顔をして僕を抱きしめた。
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