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第128話

■ 同じ部署で僕がオメガだと知っているのは北田さんだけ。 仕事が終わったあと、北田さんとヒロ君と僕で集まって、個室の居酒屋でご飯を食べながら今後の事を相談した。 というのも、この前は誘発剤のせいではあったけれど、今後は発情期が起こるかもしれない。その時、毎回有給を使って休むのは厳しいだろうということで、休暇を取れるようにした方がいいと北田さんに提案をされたからだ。 北田さんは「俺が提案するのも変な話なんだけど」と気まずそうに言う彼に、イヤイヤと首を振った。 「ちょうどどうしようか悩んでたので」 「でも休暇取れるようにするには、申請をしないといけなくて。採用情報に性別は書いてる……?」 「あ、はい。書きました。そういう書類で性別を隠して、何かあった時虚偽だとか言われたら嫌だなって思って……」 答えると北田さんは頷く。 彼もあまり詳しくは知らないらしい。 人事部に聞くのが一番だと言われたけれど、社内の知らない人にオメガであることを自らの口で言うのは少し抵抗がある。 「……」 「自分の性別のことを口にするのは結構抵抗がある?」 「えっと……はい。」 「……橋本さんは?」 「俺個人は別に気にしません。でもデリケートな話なんで、蒼太が嫌なら……まだ悩んでもいいのかなって。」 表情が強ばっていたのか、ヒロ君が僕の背中をそっと撫でる。 それだけで無意識に入っていた肩の力がフッと抜けた。

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