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第1話

 剣士は、山を幾つも越え、谷底にある小さな村を目指していた。  彼は妖魔が出るというその村を、自分の手で必ず救ってみせると心に誓っていた。  江湖の剣豪番付において彼は第三位に君臨している有望な若者だが、本人はそれを不服としていた。  実力では彼と上位二名に殆ど差はない。それどころか、手合わせで彼が勝利したこともある。 ───自分に何が足りないのか?  彼は、己の力を世のために役立てることが出来ていないからだという結論を出し、反省した。上位二名は、この世に徘徊する悪しき種族《妖魔》を退治し、近隣の村々を多数救っている。  己の技を磨くだけでは駄目なのだ。自分に足りないのは、剣の腕前ではなく、誉高い功績なのだろう。  妖魔を倒し、人々を救う。  その功績を得て、ようやく自分は江湖一位の称号を手にすることができる。  剣士はその栄誉を我が物にする事だけを考え、修行の旅をしていた。  颯爽と歩みを進める剣士の視界に入ったのは、村の方角から立ち昇る灰色の煙だった。 ───まさか、遅かったのか。  剣士は急いで村へ向かった。どうか、無事でいてくれ。自分が到着するまでは持ち堪えてくれ。命さえあれば、何度でもやり直せる。どうか、生きていてほしい。  木々を掻き分け、山の斜面を滑るように駆け降りると、やがて視界が開けた。  そこには剣士の想像とは全く異なる光景が広がっていた。  さらりと心地の良い風が木々を撫で、川桜がはらはらと吹雪く。遥か西の峰々から降りてきた雪解け水は小川となって村を潤している。水車の音、小鳥のさえずり。何百年も前から数多の詩人が謳っていそうな、のどかな原風景がそこにはあった。  剣士が見たもうもうと立ち昇る煙は焼畑によるものだったようで、老夫婦二人が慣れた手つきで執り行っているのが見えた。 (これは、まるで一体、どうしたことか)  剣士は老夫婦の方へ向かい、声をかけた。  背筋をぴんと伸ばし、自信に満ち溢れた瞳の凛とした若者。誰がどう見ても好青年である剣士を一目見ると、老夫婦は感嘆の声を漏らした。 「まあまあ、ずいぶんご立派な方が来たもんだねえ」 「ああ、驚いた。まるで物語の中から出てきたみてえだよ。…旅人さん、何にもねえところだけどゆっくりしていっとくれ」  緊張感の欠片も持ち合わせていない村人の言葉を聞いて剣士は唖然とした。 「この村には妖魔が出ると聞いていた。俺は妖魔どもを斬るためにここへ来たのだが………貴方がたは妖魔に襲われているのではないのか?…まさか、もう他の剣士が退治してしまった後なのか!?」  老夫婦は一瞬、互いに顔を見合わせて目をぱちくりとさせると、なだめるように剣士に語りかけた。 「なあ、剣士さん。落ち着いて聞いとくれ……。確かにここには妖魔が住んでいるが………一人だけしかいねえし、その……悪さはしねえんだ。村のみんなの頼み事を聞いてくれたり、農作業なんかも手伝ってくれる。老人ばっかりの村にとっちゃあ、ありがたい存在なんだよ。人を襲うなんてとんでもねぇ」 「そうさ、あんさんは外から来たから…。信じられんかもしれんがねえ。けれど、斬るなんて物騒なこと言わんどいてくれよ。あたいらの村はうまいことやっていけてるんでねぇ……」  夫婦からの言葉に剣士は驚愕し、田舎の人間は何と平和ボケしていることか、と激しく憤った。 「何を馬鹿なことを!妖魔と共存している人間なんて聞いたことがない!貴方がたこそ、奴らの邪悪さを知らないからそんな事が言えるのだ………この世に存在していて良い妖魔など居るわけがない!!」  夫婦が困り果て言葉に詰まっていると、背後から一人の男性がひょっこりと現れた。  緊迫した気配を微塵も感じ取っていなかったようで、にこにこと微笑みながら、あたたかそうな料理が乗った盆を持っていた。 「陳の奥さま。旦那さま。今朝採れた野菜で炒め物を作ってみたのです。よろしければ是非…………あら、お取り込み中でしたか」  剣士はその男を一目見ると眉を顰めた。  ───どんなに恵まれた体格の人間よりも、頭一つ分は高い背丈と、尖った耳。そして金色の瞳───。  間違いなく、この男が剣士の探していた妖魔であった。  老夫婦は慌てて彼を隠そうとしたが剣士の反応の方が速かった。即座に剣を抜くと、その男の顔面に向けた。 「貴様………妖魔だな!!」 「……えっ?」  料理を持ったままのその男は、ぽかんとした顔で剣士を見た。なぜ自分が剣を向けられているのか、まるで理解していなかった。 「俺は番付三位の毅鳳山!この世の妖魔は全て斬る……!」 「はいぃ?……ば、番付……?なんですか?知らな………」 「覚悟っ…!」 「わっ、待っ…………!」  剣士が斬りかかった。妖魔と見られるその男は、一太刀目は軽々と避けたものの、続けて繰り出された剣撃で大きくバランスを崩し、彼が持っていた盆から料理の乗った皿が離れた。 「あっ……!」  べしゃっ、という音を立て地面に皿が落ちた。作りたての料理は、誰の口に入ることもなく無惨に土埃を浴びた。  呆然と立ち尽くす妖魔に、剣士は好機とばかりに襲いかかった。 (貰った…………!)  全身全霊を込めた一撃が、妖魔の喉元に向かったその時。 「!!?」  剣士は宙に浮いた。ふわふわと漂う体からは全ての勢いが消え去り、だらりと力の入らなくなった手元から剣が離れ、地面に落ちた。  訳がわからず手足をばたつかせようとしたが、身体のどこにも力が入らない。脳からの指令が出されていないようだった。 「なっ、なっ………!」  妖魔は、目を見開き口をパクパクとさせる剣士に近づいた。そして驚くほど冷たい瞳で、剣士を見た。 「どうして、こんな非道いことをするんですか?……私………貴方に何かしたことがありましたか?」  宙に浮いたままの剣士は必死にもがきながら叫んだ。 「貴様らっ……忌々しい妖魔を倒し、俺は…!この世の為………!江湖で……一位の男に……!」 「……………………………」  妖魔は何も喋らず、宙に浮かせたままの剣士を連れ、そこから少し離れた場所に小ぢんまりと建つ家屋へ入っていった。  その場に残された老夫婦はぽつりと言った。 「米米さんを怒らせちゃなんねって、あの剣士さんに言ったっけか?」 「……言ってねえなぁ、大丈夫かねえ………」 ----------------------  薄暗い家に入り戸を閉めると、妖魔は連れてきた剣士をどさっと乱暴に床に落とした。  力が抜けたままで身体の向きを変えることすらできない無様な剣士を見下ろすと、妖魔は独り言のような口調で静かに語り出した。 「………この村の皆さんには…大変良くして貰ってましてね。私、ずっと恩返ししたいと思っておりましたのよ……。皆さん労働力がいないことを嘆いておいでですから……私は……どうにか増やせないものかと常日頃から考えていたのですけれど………。若い人間は一人もいないものですからね」 「何だ………?何の話を…………」 「いっそ、何処かから攫ってこようかと………思うこともあったくらいです。でも丁度良かったです。貴方のような若い雄が一匹いれば、好きなだけ殖やせる」 「な、何を………………」  妖魔が横たわったままの剣士に馬乗りになった瞬間、剣士は思わず「殺られる」と思い歯を食いしばった。しかし妖魔は彼の想像するような危害を加えなかった。  代わりに、剣士の股間を撫でると、耳元で囁いた。 「罰ですよ、種馬さん」 「!!! なっ…………!?」  動揺している剣士の耳を食み、唾液を絡みつかせながら時間をかけていたぶると剣士は小さく呻いた。 「ねえ?貴方がどう優秀なのかもっと聞かせてください…。江湖で何位なんですか?どうして妖魔狩りをしようと?」  舌で耳を攻めたまま、空いている手を使って潰すように強い力でぐりっ、と股間を刺激した。剣士は身体を強張らせてひぎっ♥と鳴いた。自由に手足を動かすことは出来ないままだったが、力を入れたり微動させることは出来るようになっていた。 「お、俺は三位…だっ……忌々しい妖魔どもを、倒して、世の役に立ち……一位に゛っっ……お゛っ♥なる男だっ………!」 「へえ、そう…………すごぉい」  妖魔は剣士の身体を仰向けにさせた。されるがままの剣士と目が合うと、悪魔のように微笑んだ。 「……そんなに優秀な雄の遺伝子なら、申し分ないですね♥」 ----------------------  剣士の股間の布を解いた瞬間、むわぁっと蒸れた雄の匂いが辺りに充満し、妖魔は思わずむせ返った。現れたのは、萎えてはいるが太くて立派な赤黒い男根だった。長らく手入れがされなかったそれは恥垢に塗れ、発酵が進んだ乳製品のような悪臭を放っていた。 「んんっ…………何です?これ。骨董品ですかぁ?物は立派なのに……随分惨めな姿になっちゃってますよ」  剣士は顔がカァッと熱くなるのを感じた。自分はずっと江湖で名を馳せることを、剣の道だけを考えて生きてきた。長いこと自慰もしてないし、最後に水浴びをしたのがいつだったかも思い出せない。 「だ、黙れっ……!俺は修行の身だっ……貴様のような下等生物に…… んほお゛お゛お゛お゛お゛お゛っっっ!!♥♥♥♥♥♥♥」  汚物のような肉棒を口に含んだ妖魔が、じゅうううううっっっと吸うと剣士は情けない雄叫びを上げた。少しだけ動かせる腰は宙に浮き、カクカクと震えた。 「ん♥ちゅぷっ♥ちゅっ♥………ふふ、今から綺麗にして………ちゃあんと子作りできる、優秀な雄チンポだということを、思い出させてあげますね♥」  カリの周りにこびり付いた恥垢を舌先で丹念に削ぎ落とすと、男根は硬度を持ちながら徐々に起き上がった。  下半身に直接与えられる刺激と、聴覚による刺激。ぐぽっ♥ぐぽっ♥という卑猥な水音から気を逸らしたい一心で男は唇を噛み必死に耐えていたが、上半身を起こされた瞬間、自分のモノを咥えて頭を上下させている妖魔が視界に飛び込む。「んっ、んっ、んっ」と喉を鳴らし、根元まで咥え込んでいる。  視覚的な刺激も加わえられた剣士は、もはや陥落寸前だった。  数時前まで錆びた刀のようだった雄の象徴は、溜まっていた恥垢や砂埃を全て舐めとられ、ぴかぴかに磨き上げられた。唾液と先走りに塗れたその棒は久方ぶりに肉欲を思い出しパンパンに膨れ上がり、血管を浮き上がらせながらそそり立った。 「じゅっ♥じゅるっっ♥んちゅ♥じゅるるるるっ♥………んふっ、やる気になってきたみたいですね♥こんなにギラギラ光って、やる気に満ちちゃって………んっ♥んちゅっ♥素敵♥江湖でいちばんのおチンポですよっ♥」    妖魔が先走りを舐めとってもすぐまた先端から分泌され、だらだらと溢れてくる。 「ぉ、ぉ、おおっ、~~~~お゛っ♥イ、イグ♥イグゥゥ……っっ♥」 「あっ!だめだめ……駄目ですよ」  妖魔は男の欲望に刺激を与えるのを中断し、剣士の上に跨った。そして仰け反って天井を見つめていた彼の頭を掴み正面を向かせたあと、にっこり微笑んで自身の下腹部を愛おしそうにさすった。 「貴方が子種を出す場所は、ここです」 ----------------------  妖魔が露わにした下半身には、男の象徴と女の象徴が両方ついていたのだが、彼は剣士の意識が特に下の方に行くよう、真っ赤に充血し愛液をだらだらと吐き出している割れ目をくぱっ♥と横に広げて見せた。入り口全体を潤わせている体液が、糸を引きながらボトッと零れ落ちた。  妖魔が皆、両性具有だということを剣士は知っていた。二人居れば瞬く間に繁殖するという───忌々しく、穢らわしい存在だと思っていた。  普段であれば、妖魔の局部など想像するだけでおぞましいと思う筈の彼であったが、長らく忘れていた雄の欲望を刺激され続け、雌の入り口を目の前にさらけ出された瞬間───嫌悪感を覚えるより先に、その穴に突き刺したい衝動を抱いてしまった。全身の毛を逆立てながらフーッ、フーッと荒い呼吸で獣の衝動を堪えていた。彼が何を必死で抑え込もうとしているのか、何を守ろうとしているのか。妖魔には容易に想像できた。  雌の彼は自身の濡れた女性器を、限界まで反り上がった剣士の怒張の側面に這わせるように擦り付け、何度も何度もぬるぬると滑らせ挑発した。 「ほぉ~~ら………貴方のおチンポが、入りたがってる雌マンコですよぉ……♥でも妖魔と交尾なんてしたくないんでしょう?する?しない?もう辞めちゃう?……私はどっちでもいいですけど」  妖魔はそう言うと、だらだらと涎を垂らし続けている彼の先端と、自身の入り口をぴたりと密着させた。  そしてくっつけたり離したりを繰り返し、ちゅっ♥ちゅっ♥と剥き出しの性器同士での、浅い口づけを何度も交わした。 「ふふっ………ね、どうします?腰と手、使えるようにして差し上げますから………答えを聞かせてください」  そう言われた途端、剣士は自分の手先と腰が自由に動かせるようになったことに気がついた。すると、 ──────ずぷんっっっっっ!!!!!!  何かを考えて判断するよりも早く、手と腰が動いていた。目の前で煽る雌の腰を両手でわし掴むと、自身の元へ引き寄せながら肉棒を突き刺し、全力の一撃を浴びせた。潤いきった膣内はその攻撃を予想していたようで、男の侵入を奥深くまで許すと、今度は逃がさないようにぎゅうううっと締め付けた。 「────────お゛ほぉぉぉぉぉ~~~~~~ッッッッ♥」 「あんっっっっ♥交尾するんですね……♥そう来なくっちゃ……♥」 パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ! 「フ────ッ!ふっ!ふっ!フ────ッ♥ふぅう゛!ふんっ!ふん゛っ!!!♥」 「ああ~~っ♥♥♥気持ちいい~~~♥♥♥♥♥」  剣士は畳みかけるように猛攻を浴びせたが妖魔は参った様子もなく、寧ろ恍惚とした表情で快楽に溺れていた。 「忌まわしいとか何とか言っておきながら……♥妖魔マンコに夢中になっちゃって……ンッ♥あんっ♥ふふ、人間様ぶってても、結局頭は動物の雄なんですねぇ………♥」 「ち……………違っ♥んっ、ふっ♥!お前のようなっ!浅ましい雌はっ!!こうして……っ!!ふっ♥お゛っ♥分からせて♥やらないとっっ♥ぉふ゛っっ♥オ゛゛゛゛♥」 「ふふ♥そうですね…♥剣みたいに硬いおチンポで……ガツガツ攻撃できて偉い偉い♥あぁ……こんなに強いおチンポで、子宮を犯されちゃったら……私……降参しちゃうかも♥」 「オ゛♥オ゛♥オ゛♥オ゛ッ♥オ゛ッ♥犯゛すっ!♥ 犯゛すぅぅぅぅっ!♥♥」  自分にしがみつき、全力で下半身を突き動かす剣士を見て嬉しそうに微笑んだ妖魔は、根元までずっぽりと咥え込んだ膣内をうごめかせ、種付けを煽った。  剥き出しの性欲がその挑発に対して出来ることなど、射精以外には何もなかった。 「~~~~出っ♥出る♥出る出る出る出っ………オ゛ッッッ──────オオオオオオオ゛オ゛オ゛オ゛!!!!!!!!!」 ブピュッ!ビュルルルルルルルッ!ブビュ────ッ!ブビュウウウウッッ!!!  男は舌を突き上げながら咆哮し、溜まりに溜まった子種を子宮内部に漏らし続けた。妖魔はどろどろと堅い精子の塊が子宮内に置かれるのを感じながら、悦びに浸っていた。 ───────ぢゅぽんっっ!!  長い長い射精がようやくおさまったのを確認した妖魔が腰を浮かせると、役割を果たした肉棒が勢いよく飛び出した。  剣士の体内に長いこと溜められていた膿のような粘度の精液は、子宮内に留まり続け、肉棒が抜かれた後も垂れてくる気配は全くなかった。不満そうな顔をした妖魔が自身の入り口をくぱっと広げると、濃縮のしすぎで黄ばんだ子種液がようやくぱたたっと数滴だけ落ちてきたが、大半は子宮内に残り続けた。 「ん~~~…………悪くはないんですけど…………。もっと活きが良くて、元気で、逞しくて……、強ぉい赤ちゃんが欲しいです…………」  意識を白濁とさせた剣士が、強い、という言葉に僅かに反応したのを妖魔は見逃さなかった。にいっと笑うと、再び彼の男根を胎内に迎え入れた。剣士は小さく喘いだ。 「んふ……江湖で一番強~~い剣士さんなら…真っ白でピチピチの、特濃孕ませ汁で妖魔の卵子を懲らしめることくらい出来ますよね♥………もっと頑張ってください♥ほらほらっ!」 ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!ばちゅんっ!  暫くは激しく腰を上下させている雌に喰われたままの剣士だったが、頑張れ♥頑張れ♥と鼓舞されると矜持を取り戻し、内部を蹂躙してやろうと自ら軀を突き動かした。 「あんっ♥あっ♥いい♥良いですよ♥優秀人間チンポ様でいっぱい♥悪ぅい雌を懲らしめちゃってください♥ねぇ♥最強チンポから懲らしめ精子出す?出せる?♥」 「お゛♥出す゛っ♥精子出すうう゛♥最強懲らしめ精子出す゛っっ♥オ、オオ゛、オオオオオオ゛゛゛ッッッッ!!!♥」 ビュ───────ッッッッ!!!!  膿のようだった初弾とは異なる、勢いを持った新鮮な子種が噴出した。凶器のように鋭い噴射が子宮の内壁にぶつかると、壁は圧されてどんどん拡がった。 「ああ゛~~~♥おほっっっ♥中に当たってる♥思いっきり当たってるのが分かりますっ………♥これっ、♥絶対着床するっ♥最強孕ませミルクすごいぃぃぃ♥」 「オ゛~~~~~~ッ♥お゛~~ッ♥お゛ッッッッ…………… ………… ………」  元気よく泳ぎ回る精子が卵管を駆け昇り、ぶちゅっ!と音を立てて着床するまで時間は掛からなかった。膣内にみちみちとめり込んでいる栓のおかげで大量の子種汁は体外に排出されることなく、どんどん子宮そのものを膨らませていった。子がひとり入っているかのような大きさにまで膨張すると、妖魔は満足そうに笑い自身の胎を撫でた。  種付けを成し遂げたという雄の達成感で満たされた剣士の脳は、ふわふわと漂ったまま絶頂から戻って来れずにいたが、やがて繋がったままの雌から 「……はあっ……♥はぁっ………♥うふ♥……おめでとうございます♥パパ♥…パパになっちゃいましたね…♥」  と囁かれてると、ようやく意識を取り戻し、顔から全ての色を失った。 --------------------- ばちゅっ!♥ばちゅっ!♥ばちゅん♥ばちゅん♥  あれから数日後。  妖魔と剣士は交尾を続けていた。  妖魔は自身の胎内で受精が済んだことを確信していたが、剣士はなけなしの尊厳を守ろうと懸命な抵抗を続けていた。  身体はすっかり肉欲に堕ちてしまったが、自身の誇りは、大事な部分は、まだ。まだ壊れていない。 「ほぉ~らっ♥今日も頭空っぽ交尾でいっぱい気持ちよくなりましょぉねっ♥妖魔に負けちゃった、よわよわ剣士さん……♥」 「お゛ほっっ♥違゛うっ♥俺は負けてない゛ぃ゛っ♥違ううう゛♥まけ……ま…… ……てなど………な゛っ……♥んほお゛♥……………」  段々と弱くなる彼の反論は、ばちゅっ♥ばちゅっ♥ばちゅっ♥という肉のぶつかり合う激しい音で掻き消されていった。  江湖一位の剣豪として名を馳せる予定だった若者は、たった数日で獣の交尾しかできない生き物になっていた。 「んっ♥はいはい……♥そうでしたね♥雌を孕ませられる、とぉっても強いおチンポでしたね…♥ンっ♥よしよし…♥硬くて、太くて、逞しくて……あンっ♥アツアツの子種ミルクを何度も射精せて、すっごく立派ですよ♥江湖で……何位でしたっけ?忘れちゃいましたけど………優秀だという貴方の遺伝子を、今日も…たぁくさん私の中に…びゅっびゅしてくださいね♥」  ビュルッ、ビューッ!ビュルルルルルッ!…………  ……………  若い雄の子種を胎に蓄えながら、青空の下でうきうきと農作業をする妖魔に村の老人が話しかけた。 「米米さんよ!そういえばあんた……この間外から来た若い人に襲われそうになってたじゃねえか!ありゃあもう大丈夫なんか?」  米米という名で呼ばれた妖魔は、朗らかに笑って答えた。 「はいっ!大丈夫です。彼は今反省しています」 ---------------------  胎児の成長が人間よりも早いのか、妖魔の彼は初交尾から二ヶ月も経たないうちに立派なボテ腹になっていた。人間で言えば七ヶ月目といったところだろうか。  子を孕んだ重い体躯の妖魔は今日も雄の昂りに跨り、その相手から全てを搾り取っていた。相手は、ただそれを悦んで享受していた。 「~~~お゛っ♥お゛っ♥お゛っ♥お゛お゛…………っ♥」 パンッ!♥パンッ!♥パンッ!♥パンッ!♥パンッ!♥パンッ!♥  男は全身の拘束を既に解かれているが、ここ数日間は腰を打ち付ける以外の動作を殆どしなかった。一日の大半を横になって過ごしているため、この村へ来た時に携えていた自慢の筋肉は失われつつあった。  妖魔を倒すための、剣の腕を磨く時間よりも、今は妖魔とまぐわっている時間の方が断然長い。  当の妖魔は、彼が段々言葉らしい言葉を発しなくなっていたことを気に掛けていた。  あの尊厳とやらは何処へ行ってしまったのやら。  今孕んでいる一人目で終わらせるつもりはない。まだまだ沢山産ませて欲しいのだから、早々に獣堕ちしてしまってはつまらない。 ───彼の興味を惹くような、楽しい話をしよう。  妖魔は閃いたという顔をすると、ヘコヘコと腰を打ち付ける雄に向かって呟いた。 「そういえば、妖魔の方が人間より優性の遺伝子を持ってるってご存知です………?妖魔と人間との間に生まれた子供は、必ず妖魔の特性を持って生まれてくるんですって…」 「………へっ♥……へぁ♥……へ?………?」 「ふふっ………♥だから…、貴方はこうして交尾して………妖魔を倒すどころか、妖魔の数を増やすことになっちゃうんですね♥」 「!!!!!!!!」  快楽に塗れとろんと蕩けていた男の表情が、徐々に恐怖の色に染まった。妖魔はニコっと笑い、さんざん受け入れたことのある馴染みの子種汁を搾り取るように胎内をきつく締め付げた。  その雄が快感に抗うことは出来なかった、しなかった。 「貴方と私で…たーくさん子作りして、江湖の妖魔がいっぱい殖えちゃったら……番付から貴方の名前なんて消えちゃうかもですね……♥パパ……♥」 「あっ!!!へあっ!!!♥嫌だっ………゛!!!パパになりたくないいぃい゛っっっ♥」 「ふふっ、もう遅いですよっ!ほらっ!!貴方の子ですよ…♥敗北確定最弱チンポで挨拶なさいっ!!!」 ばちゅんっ!♥ばちゅんっ!♥ばちゅんっ!♥ばちゅんっ!♥ばちゅんっ!♥ばちゅんっ!♥  剣士だった男は自分に跨る雌の尻を鷲掴みにし、自らの意思で腰を打ちつけていた。自由に動かせる手足と腰を使って、受精済の雌の身体を何度も何度も貫いては、発情した犬のように舌を見せてみっともなく喘いだ。 「ンお゛っ♥お゛っ♥お゛っお゛っお゛っお゛っ……い゛っっ………ぐ!!!イグイグイグイグイグ~~~~!!!♥♥♥♥子作りやめられないいいい゛い゛い゛~~~~!!!」  男は、妖魔の胎内に宿ったまだ見ぬ我が子に向かってひときわ長い射精をすると、ぐったりと倒れ込んだ。  尽き果てた体力を振り絞りながら大きな胎に手を伸ばし、すり、と撫でる父親の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

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