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第1話:『公害レベルの二人組』
竜ヶ崎学院男子高等科、二年の風紀生活委員の一之瀬 彪彦とその同級生で環境美化委員の朝比奈 錦は犬猿の仲だ。
互いを蛇蝎のごとく嫌っている。
今日も今日とて評議会で顔を合わせた途端、嫌味と罵倒の応酬を始めた。
会議室は実に険悪な空気に満たされている。
周囲に与えるストレスも多大なものだ。
正直公害レベルである。
会議に出席している委員達の大半は怖くて誰も口をはさめない為、彼らの罵倒の応酬は止まることが無い。
評議会終了後、各自提出書類を書き込んだうえで退出をしていくだけなのに。
どうしてこうなった。
副会長の隣に腰かけた書記の五十嵐 皐月は生温くなった緑茶を口に含み議事録をノートパソコンに打ち込んでいく。
しかし生徒会で出されるインスタントティーというのはなぜこんなに不味いのだろう。
パッケージには綺麗な緑色をした茶の写真が写されてはいたが目の前にあるのは、茶色がかった液体だ。
昆布色とでも言おうか。
正直ペットボトルの茶の方が味が良い。
同じ値段なら安い徳用パックか業務用の茶を購入すれば良いのに。
「それで校内に兎を捨てた犯人目がけて黒酢の瓶を投げつけただと?前頭葉がまともな機能を果たしていないようだな一之瀬」
…酢を飲むのか?一之瀬よ。
周囲にいた委員たちは心の中で突っ込む。
五十嵐も突っ込んだ。しかも、黒酢。
「校内に不法侵入しあまつさえ子兎3匹遺棄した犯罪者だ。俺の前頭葉が機能してなけりゃ瓶をぶつけた程度で済むわけないだろうが。むしろその程度で済んだことに感謝してほしいくらいだ。朝比奈」
「なぁなぁ、その兎どうしたんだよ結局」
保健委員の羽田 修二が空気を読まず一之瀬の顔を覗き込む。
彼はよく二人の間に座らされ胃が痛い思いをしていると誰もが同情する立ち位置だが、もともと空気が読めないので他の人間よりストレスには強いのかもしれない。(鈍感ともいう)
「俺が保護してる」
一之瀬の言葉に、朝比奈のペンの動きが止まる。
「俺は今幻聴を聞いたのか?一之瀬。駆除と保護の意味間違えてないか?」
「耳鼻科行けよ。ちゃんと保護してる。」
一之瀬が舌打ちし机の上に申請書類を放り、各委員会に割り当てられた予算一覧表を手にした。
「一之瀬。非常食にするつもりか?それとも、ストレス解消に使うのか?貴様が子兎を保護だと?」
「一度死ぬか。ミンチにして池の鯉のえさにしてやるよ」
五十嵐はこの2人実は仲良しさんじゃないのかとたまに思う。
皆の前では照れて、あんなツンケンしているが二人っきりになったらベタベタラブラブだったら美味しすぎる。殴り愛、喧嘩ップル美味しすぎる。
――激しい愛情行為、大好物です。むふふ。
こんな風に考えてしまえるのは、五十嵐が腐りに腐った思考回路の持ち主だからだ。
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