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第2話
『イベントでお会い出来るのを楽しみにしています』
ファンになってからずっと送り続けているファンレター。
返事が来る事なんてないと思っていたし、なかなか会いに行けなくても応援している事を伝えたい、ただの自己満足な手紙を毎月送っていると思っていた。
それに返事が来たのは、抽選で当たったイベントに行く事になってから少ししてからの事だった。
白い封筒に書かれた送り主は、その名前だけが書かれていた。
ドキドキしながら封を切ると、中にはメモ用紙が1枚入っていて、
『いつもファンレターを送ってくれてありがとう。直接話がしたいので良かったら連絡下さい』
という手書きのメッセージと、電話番号が書いてあった。
詐欺かな。
そう思って彼の文字の画像をスマホで検索して、手紙の文字と見比べた。
似てる。
じゃあ、これはご本人から?
消印を見ると、都内から投函されたみたいだった。
仕事だったボクは電話するべきか仕事中もずっと考えてしまって、そのせいでミスしてしまったりして。
それでも何とか仕事を終えて帰宅すると、書いてあった電話番号を間違っていないか何度も確認してネットで検索してみた。
すると、個人の携帯番号という結果しか出ず、迷惑電話ではなさそうだった。
かけてみよう。
ワンコールなら詐欺でも大丈夫なはず。
そう思ったボクは、スマホからその番号に電話をかけると、ワンコールで切っていた。
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