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第5話 心の準備ができてない時に本番ってこともよくあるよね

後ろを振り向くと僕が今日用があった相手。遠藤君がいた。 「お、おはよう遠藤君」 少し、ぎこちなくなってしまったがそれも仕方ないと思う。何せいないと思って安心したタイミングで出てきたんだから。 と言うかまた上げて落とす方式なんだけど!?昨日あったばかりだよね!なんでこんな連続でくるの!? 「昨日はごめんな。ちょうど友達が着いたらしくてな。」 「あー、いや大丈夫だよ。それで昨日の事で話があるんだけどお昼話せる?」 正直何を言えばいいのか、まだ思いついてないけどとりあえずは早めに行動した方がいいよね。 「ん?あぁ、別にいいぜ。」 「よかったぁ。それじゃあ昼休みにね」 ふぅ、とりあえず約束は取り付け。何とかお昼までに何を話すかしっかり考えないと。 そんな風に考えていると声をかけられた。 「え、空って遠藤と関わりあったの?いつから?」 「俺らが今まで見た事ないって事はつい最近なのか?」 まず声をかけてきたのは海斗と悠真君だった。 「いや、昨日偶然本屋であっただけだよ。そこで昨日話したんだけど、それが途中だったからその続きを話したいだけだよ」 嘘は言ってない。肝心な内容は避けてるけど全部事実だ。ちょっと後ろめたいけ正直に伝えられる内容じゃないから仕方ない。 「へぇそうだったんだ。どんな話をしたの?」 「ねぇねぇ僕ら普段は関わりがそんなにないけどどんな感じだったの?」 海斗と悠真君に続いて今度は歩君と弘君にも質問される。 「うーん。別に大して話をした訳じゃないよ。偶然あって奇遇だねとか。どんな本が好きなのかとか聞いたりしただけだよ。それといつも学校で見るような感じだったよ」 「へぇ、そんなかんじだったんだね」 「なぁんだ。普段と変わらないのか」 僕が質問に答えると歩君はいつもの優しい顔のままだけど弘君はなんだか残念そうだった。 そう言えば弘君が遠藤君と話してるところを見たことがない気がする。弘君はクラスの皆に積極的に話しかけていってその人懐っこさから皆と仲がいい。それなのに遠藤君だけは話してるところを見た事がないってことはもしかして避けてたりするのかな? 「ねぇ、弘君」 「ん?どったの?」 人懐っこい笑みで用件を聞いてくる弘君。 「もしかしてだけど弘君って遠藤君が苦手なの?」 もし僕の予想通り弘君が遠藤君を避けてるなら人懐っこい弘君が苦手意識を持つような何かがあるってことでその理由が気になる。それが弘君個人の問題ならいいけど、もし遠藤君に何かあるなら気をつけないといけないかもしれない。昨日の出来事は僕にとってかなり大事な事だからちゃんと聞いておきたい。 「「?」」 そんな思いから弘君に聞くと近くにいる海斗と悠真君は見て分かるくらいに顔に疑問符を浮かべていた。 それが普通の反応だと思う。誰からも好かれそうな2人なんだから2人が仲悪いとかそういうことをイメージする人はいないだろうし。 でも歩君の反応は2人とは違った。一瞬だけど眉間に皺が寄った。 そして質問をした肝心の弘君は 「…あっはは!えーなんでそんな事聞くの?僕は遠藤の事は苦手に思ってないし、別に仲が悪いわけでもないよ~」 笑って否定された 「いや何となく気になっただけだよ。ごめんね変なことを聞いて」 でも僕は見逃さなかった。ほんの僅かにだけど間があったし、少しだけ顔が引き攣っていた。直ぐに笑うことで上手く隠していたけど、注意深く見ていたから気づけた。 この反応から遠藤君の事があまり好きじゃないのかな。このクラスで弘君がそんな風にしてるのは多分遠藤君だけだろうから遠藤君には何かあるのかな? さっきの歩君の反応からして彼も何か知ってるのかも。2人とも多分それを隠してるんだろうね。でもごめん。遠藤君との話し合いは僕にとってかなり重要な事なんだ。だから何か少しでも知っている事があるなら知りたいんだ。 でも隠しているものをわざわざ聞き出すのは罪悪感が凄いからこれ以上はもうやめよう。 ごめんね嫌なことを聞いたりして 僕は心の中で2人に謝った

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