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第9話 欠点を自覚していて、近くに凄い人がいたら憧れると思う

「いや、俺そもそもアニメとか漫画は最近見始めたばっかだからそんな得意じゃないんだよな」 「え、そうなの?」 でもこれってある意味ラッキーかも。そういうのの知識がないなら今の内から仕込んで僕と同じように腐男子に出来るかも。よーし頑張るぞ! 「大丈夫だよ!元々抵抗感があった僕でも楽しめたんだから、そういうのに抵抗がない遠藤君ならきっと読めるよ!」 遠藤君は悪い人じゃないし、押し強くすればいけると思うんだよね。正直そういうのは苦手だけど今回は仲間を作るためになりふり構ってられない! 「あーまぁ、そこまで言うなら。少し試すだけならいいぞ。」 「本当に!?やったー!!」 よし!やっぱり押し強めにしたらオッケーもらえた!これでBLの話題が出来る人員確保。後は話題が出来るから語り合いが出来るところまで持っていこう。 ここは僕の腕の見せ所だね。一般人以上オタク未満な僕だからこそこういう時は相手のペースに上手く合わせられると思うんだよね。 「そんなに嬉しいのか?」 「うん!すっごく嬉しい!」 「そんな喜ばれるとなんていうかこっちも嬉しくなってくるな。」 「それじゃあ遠藤君明日早速持ってくるね!」 「お、おう分かった。」 「さーってと、それじゃあ明日どれをもって行こうかなぁ。やっぱり僕が最初に読んだ奴かな。でもあっちの方が僕達の歳に近いし、そうなるとあれも候補に入るかな。あっでもそもそも一貫で終わるんじゃなくてある程度纏まった巻数が出てるものの方が物語を長く楽しめるからそっち方がいいかな?」 明日持ってくるのは何がいいかな。いや、そもそも一貫だけじゃなくて複数冊持って言った方がいいかな? 「はは」 僕が持っていく本を何がいいか悩んでると不意に響君が笑い出した。不思議に思って考え事をするといつも俯いてしまう癖で下がっていた顔を上げる。そうすると僕の事を微笑まし気な視線で見る響君の顔が映った。 「いや、さっきも言ったけど木鈴は本当にBLが好きなんだと思ってな。いつもなら何か悩む時は困ったよう顔め悩んでるけど、今はそんな気配はなくて凄く楽しそうに悩んでるからな」 よほど不思議そうな顔をしていたのか僕が何か聞く前に遠藤君は笑っていた理由を喋り出した。 それを聞いて僕は少し気恥ずかしくなった。基本的に優柔不断だから中々決められずにいるけど、好きなものに関しては同じように悩んでいても見て分かるくらいに様子が違ったようだ。 「そういえば俺の事は遠藤でいいぞ。俺も空って呼ぶから」 「え?あっ、う、うん。わかった」 急に話題が変わって少し変な感じで返してしまった。 今までえんど……響君とはあまり関わりを持ってなかったけど、それでもやっぱりいい人だっていうのは分かっていけど、こうして話していると更によく分かる。 嫌な顔をせずに話をしっかり聞いてくれるし、興味を持ってくれている。だから喋っていると、つい気分が良くなって言葉数が増えている。 あれ?でも何か忘れてるような。何か話したいというか言いたいことがあった気がするんだとなぁ。なんだっだんだろう。忘れてるってことはそこまで問題のない事なのかな?でも多分BL関連の事だろうし違うよね。 ………あー!忘れてた!?というか真っ先に言わなきゃじゃん。わー僕のバカ!またドジかましちゃってるよー! 「えーっと響君。一つお願いがあるんだけどいいかな?」 「どうしたんだ空?」 「僕がBLを持っていたり、読んでる事や腐男子な事は誰にも言わないで欲しいんだ」 幾ら響君がいい人そうで偏見とか抵抗がなさそうだとはいえ、BLの話が出来そうで嬉しかったとしてもこんな大事な事を忘れるとか。もっと早くに言うべきだったの もう、なんで僕はいつもこんなドジしちゃうんだよー。 「あぁ、別にいいぞ。というかそもそも誰かに言おうと思ってもないから心配しなくても大丈夫だぞ。だから落ち着けまた顔色悪くなってぞ」 「そっかぁ。よかったぁー」 響君の言葉を聞いた僕は安堵した。どうやら僕はまたしても顔に出ていたらしい。今日何度目になるか分からない心配をされた。 けどまぁ、これで昨日からあった悩みは消えたって事だからもう大丈夫だよね。 よかったぁー、いい案が思い浮かばないままでいたけどなんとかなって。もう昨日からずっと生きた心地がしなかったからどっと疲れが押し寄せてきた。 僕は力が抜けてその場に尻もちをつく。 「っておい、大丈夫か?」 急にその場に座り込んだ僕を響君は僕を心配して声をかけてくる。 「あー大丈夫大丈夫。安心したらちょっと力が抜けただけだから」 そういうと響君はホット安心した様子になった後に少し申し訳なさそうな顔をした。どうしたんだろう? 「そんなに気になっていたのか。それなのに昨日のうちに話せなくて悪かったな」 「えっ?いや別に響君が悪い訳じゃないんだし謝るらないでよ。」 まさか謝られるとは思ってなくて驚いた。響君って本当に人がよく出来てるよね。こういう人ならそりゃ皆頼りたくなるよね。それに加えて運動も勉強も出来てすごいなあ。僕も響君みたいになりたいよ。 特に僕はドジをやらかすところとかなんとかしたいから余計に憧れるなぁ。

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