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第10話 自分だけが気づいてるハラハラな状況は勘弁してほしい
「あっ、お昼食べてない」
授業が終わった放課後。帰宅しようと身支度をしていると鞄の中のお弁当に気づき、お昼に何も食べてない事を今思い出した。
あの後も響君と色々話してんだよね。響君は自分で言っていた通り、本当にアニメや漫画を見始めたばかりのようでその手の知識が殆どないようなので色々と紹介していたりした。
本当はBL漫画のサイトとかも紹介したかったんだけどいきなりそういうサイトを見てBLに悪印象を持たれても困るから最初はやめておいた。
それに本を明日持ってくるって言ったし、どうせなら好印象を持ってもらってからの方がいいと思うしね。
あと楽しみは取っておいた方がいいよね。
まぁ、そうやって今まで話をした事がなかった響君との話に夢中になりすぎて気づいたら昼休みの時間は終わっていた。
そして午後からの授業を受けてお弁当を食べてない事に気づいた。
授業中は気にはならなかったけど、気づいたらお腹空いてきちゃったなぁ。
「あれ、珍しいな。というか始めてじゃないか?空が食べないっていうか忘れるって」
僕の言葉を聞いた海斗が意外そうに言う。実際に海斗の言うように僕がお昼を食べていないのはこれが初めてだ。
「てか今気づいたのかよ。お前昼休みずっと何してんだ?」
「いやぁ、響君との会話が盛り上がっちゃって」
悠真君にの質問に答えながら僕は自分が言った言葉が何故か気になった。
「えぇ、だらしないよ~空君。それで倒れたりしたら大変だよ?」
「うっ、おっしゃる通りです」
実弘君にだらしないと言われて少し落ち込んでしまう。
「まぁまぁ、習慣になってる訳でもないからいいんじゃないかな。実際に珍しいっていうだけだし。」
「えー、歩は甘いんじゃない?」
「そんな事はないと思うけど」
そんな僕に歩君はいつもの笑顔のまま優しい言葉をかけてくれる。相変わらず空君も人がいいよね。実弘君が何か言ってたけど歩君はそのままでいいと思うよ。
「そらにそれだけ響君と仲良くなれたってことでしょ?」
「うん!もう凄く仲良くなったんだ!今度皆も響君と話そうよ。」
僕がそういうと海斗と悠真君は
「おーいいね!海斗がそんなに言うなら俺も気になってきたわ」
「空がそこまで言うなんて珍しいな。まぁ俺も興味がて出来たな」
好感触な反応が返ってきたのに対して、残りの2人は
「えーでも急に大人数で行っても迷惑じゃない?」
「僕もそう思う。だからまずは悠真と海斗君だけ会いに行ったらどうかな?僕達はその後でいいから」
まるで示し合わせたかのような息がぴったりな2人。普通なら見過ごしてしまうだろうが僕は2人のことをこっそりと中止していたので気づいた。この2人は一瞬の内に視線を合わせてから話し出した。
実は昼休みに響君から「なんでかわかんねぇけど、俺犬伏と伏見に嫌われてるっぽいんだよな。だから変な事は言わないでくれよ」と言われて少しドキッとした。
今朝の2人の反応を見るに響君の考えは間違ってなさそうなんだよね。
正直響君とこの2人が仲が悪くなるような要素がないと思うんだよね。そう思って聞いたけど関わりを持つ前から避けられている感じがしていたとのことでわからないらしい
それに今だって遠慮している風に言ってるけど多分避けてるんじゃないのかな。
特に弘君は普段はそう言うのを気にせずに人の輪の中にいつの間にか入っているからさっきの気遣いはどうにも違和感が拭えないんだよね。
自分の知り合いや友達同士が仲が悪いのは嫌だからなんとかしたいんだよね。
「それもそっか。分かったそれじゃあ歩君の言う通りまずは海斗と悠真からね。あっでも明日とかはまだ僕が2人っきりで話したいことがあるからまだ先ね」
「いや、すぐじゃないのかよ」
「えー、別にそれいっけど弘も歩も気にしすぎじゃね?」
僕の言葉に海斗は軽いツッコミを入れて、悠真は弘君と歩君の反応に疑問を示した。お願いだから悠真君そこは突っ込まないで!
「まぁ、確かに気にしすぎかもしれないけど念のためだよ。」
「悠真はそんなんだから中学の頃女子にモテないんだよ」
「いや、今それは関係ないだろ!てか別にモテなかった訳じゃねえし!」
ふぅ、よかった。歩と弘君が上手く話を逸らしてくれて。藪蛇を突いたんじゃないかと思って心配したけど杞憂だったみたいだ」
本当は響君と弘君、歩君の2人を仲良くさせたいけど隠してるっぽいからどうすればいいのかわからないんだよね。それにデリケートな問題だろうし、変に構って悪化させたら怖いし
まぁ、今考えてもいい案は思い浮かばないから後回しにしよう。
………後回しの代償が大きくなりすぎない内に解決しないとね。
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