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第11話 誰にでも優先したいものはある

「あっそうだ俺今日カラオケの割引券持ってんだけど今から行かね?」 僕が問題の後回しをしすぎないように1人内心決意をしていたら海斗がそんな事を言い出した。 「おっいいなぁ!俺ポテトの無料券あるぞ」 「ナイス悠真!」 「僕も行く行く!何歌おうかな」 この3人は相変わらずだなぁ。今週まだ始まったばかりだけど元気が余ってる。そんな3人に歩が声をかける。 「あはは。今日は月曜なの皆元気だね。どうせなら金曜の方がいいんじゃない?」 どうやら僕と似たような事を考えていたらしあ。この中で落ち着いてるのは歩君だけなんだよね。正直僕だけだと中学から一緒の海斗しか制御ができないから居てくれて本当に助かっている。 「あーいや、この割引券今日までなんだよ。だから他の日にするって選択肢はないんだ」 「いやなんでそんなギリギリまで取っておあたんだよ」 「忘れてた」 「えー!それなら絶対行かなきゃだね。それじゃあ皆レッツゴー!」 本当に元気だなぁ。そしてだからこそちょっと申し訳ない。 「あはは。この感じだと行かないっていう選択肢はなさそうだね。」 苦笑いをしながら歩君はそんな言葉を口にする。 「あーごめん。僕今日ちょっとやる事があって行けないや。」 だってこの3人を歩に任せる事になるから。このテンションが高い。3人を歩君1人に丸投げするのは申し訳ない。でもきっと歩君ならいつもみたいになんとかできると思うんだよね。頼れる委員長だし! 「えー、空来ないのかよ」 「空君来ないの~。残念」 僕が用事があっていけないと伝えると海斗と弘君は分かりやすく残念がっている。 「まぁ、また今度一緒に行こうぜ」 悠真君の方はさっきの2人よりはまだ落ち着いてるから別の日に行こうと言ってくれる。 「うん。ありがとうその時は誘ってね。」 そして僕は肝心の歩君の反応を窺う。 「そっかぁ。それは残念だね。」 歩君の顔には言葉通り残念そうな表情が浮かんでるがそれだけじゃなくて僅かに狼狽えている様子が伺える。 ………やっぱりちょっと心配かも。でもごめん歩君今日の僕には大事な用があるんだ。 「それじゃあ僕は先に行くね。また明日!」 そうして僕は教室から出て行き家に向かって歩を進める。 僕は歩きながら今日の用事について考える。僕の今日の大事な用事。それは明日響君に渡すBLを選ぶ事だ。 大してない事のように思えるかもしれないけど、僕にとっては大事な事だ。誰かに喋るには中々難しいジャンルだから今まで誰にも言えなかったんだよね。 そこに現れたそういうのに偏見がなく漫画やアニメを最近見始めた響くん。 この千載一遇のチャンスをみすみす見逃すなんね選択肢は僕にはなかった。やっぱり話を聞いてくれる人や語り合える人が欲しい! ので確実にそうする為にもBLの良さを分かってもらえるように始めてでも見やすく、尚且つ面白い物を選ばないと! あとついでに久しぶりに見返したくなったんだよね。 という事で今日のカラオケは断ったんだけど、歩君大丈夫かな?暴走する3人を抑える役が1人減ったけどなんとかできてるかやっぱり心配だなぁ。 でも早くBLの話をしたいし、カラオケに行くという選択肢は僕にはなあ。今回はやっぱり歩君に犠牲になってもらおう。歩君の事だか らきっといつもみたいになんとかできると信じよう! そんな事を考えていたら家に到着していた。僕は家に入りすぐさま自分の部屋に入り、ささっと制服を脱いで本棚からいくつかの本を床に並べていく。当然この本は全てBLだ 「さーってとまずはどれから読もうかな」 楽しい時間の始まりだ。

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