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第12話 語れるって思うとテンションが上がる
翌日
憂鬱だった昨日の朝とは打って変わって僕の足取りはとても軽いものだった。
「ふんふふーふん」
つい鼻歌を歌ってしまうくらいには上機嫌だ。
「あっでも」
僕はある事に気づき周りを見渡した。
こんなところ誰かに見たら恥ずかしい。浮かれすぎてて何も考えてなかったや。とりあえず特に人がいなかったから僕の鼻歌は誰にも目撃されなかった。よかった~
とりあえず恥ずかしいところを誰かに見られなくてよかったぁ。
「すぅーはぁー」
僕は一度深呼吸をして気持ちを落ち着ける事にした。
「よし、もう大丈夫」
冷静になって左手に持つテンションが上がっていた理由のものを見る。僕の手の中には紙袋がある
これは昨日僕が腐男子である事を打ち明けた遠藤君…じゃなくて響君によんでもらう為に持っていく約束をしていたBLだ。
昨日家に帰ってから家の本棚の本を見返して厳選した3冊だ。
本当はもっと沢山持って行きたかったんだけど、いきなり大量に持っていっても迷惑かと思ってこの数にした。
ただそれを考えるなら1冊か、2冊の方がいいと思うんだけど、どうしてもおすすめしたくて我慢できずに3冊にしちゃったんだよね。
まぁ、どれも初心者の人でも読みやすい作品だからBLや恋愛漫画どころか漫画とか自体をあんまり読まない響君でもとっつきやすいはずだから大丈夫だよね。うんそういう事にしておこう。
そんな事を考えてるといつの間にか学校についていた。昨日とは違って海斗とは合ってはいない。憂鬱で家を出る時間がいつもより遅かったからその原因がなくなっていつも通りの時間に家を出たからだ。
………そう言えば歩君は昨日大丈夫だったかな?
いつもは僕と歩君の2人がかりで弘君と悠真君と海斗の3人を抑えてるけど僕は昨日、今日響君に渡す為の本を厳選するためにカラオケには一緒に行かなかったんだよね。
………まぁ、えっと僕がBLを語る友達を作る為の尊い犠牲だったって言うことで許してくれないかな。いや、尊くはないか。
ま、まぁ、歩君は優秀だしきっと大丈夫だよね。それに優しいからきっと許してくれるよね。
………今月まだお金は使ってはずないはずだから余裕はあるはず。でもBLは絶対に欠かせたくないしなぁ。
…………仕方ない今月はパン屋行くのなしだね。うー僕の偶の楽しみがぁ~。けど
「あ、空君じゃん!おっはよーう!」
「うわぁ!」
「うぇ!?」
考え事をしていたら急に声をかけられて大きな声を出してしまった。そしたら更に大きな声が出てびっくりしてしまう。
「落ち着いて空くん」
「え?なっなんだ~弘君か」
僕に声をかけてきたのはいつもと変わらず人懐っこい笑みを浮かべている弘君だった。
「も~う急に大きな声出さないでよ。僕もびっくりして大きな声出しちゃったよ。」
「ご、ごめんね弘君。ちょっと考え事してて」
「ふーん。そうだったんだ。まぁ、何はともあれ昨日とは違って大声を出せるくらいの元気が残ってるならよかったよ」
「あはは。その事についてはご心配をおかけしてすみません」
にしても昨日の僕ってそんなに分かりやすかったのかな?あっそういえばあの事伝えておかないと。でも2人がいる時に言った方がいいよね。二度手間にならなくていいし。
あっ、やっぱりに念の為に今の内に伝えておこう。今日の歩君の状態が心配だし
「弘君昨日はありがとうね」
「ん?何の事?」
「昨日歩君と一緒に響君に僕に何があったか聞いてくれたんだよね。」
僕がそう聞くと弘君は分かりやすく目が泳ぎ出した。弘君って隠し事下手なんだよね。
「えっと何のことだろう」
「隠さなくてもいいのに、僕の事心配してくれたんだよね。」
「あっ、えっと別に気にしないで本当大した事じゃないから」
何でだろう?なんだか気まずそうな反応をしているように見えるのは僕の気のせいかな?でもまぁ
「そっか。でもありがとう。あっそれと昨日で分かってると思うけど念の為に言っておくと響君は別に悪い人じゃないからね。昨日伝えようと思ってたんだけどちょっとうっかりしてたから今言っておくね。」
まぁ、本当は悠真君が響君と弘君、歩君達と不仲(個人的な予想)に触れそうなってハラハラしちゃって頭から吹き飛んだのが原因なんだけどね。
「あはは。そっか気にしなくていいのに。空君は真面目だなぁ。」
「そうかな?」
「そうそう。それと別に響君の事は大丈夫だよ。僕も彼がいい人なのはわかってるしね。」
そう言う弘君の顔は笑顔だけど少しだけ作り物のような気がする。なんというか笑顔自体は本心なんだけどそれだけじゃないような。
「うん。それもそうだね」
ダメだ。僕にはあんまりよくわからないや。踏み込むのも恐い僕には詳しく聞くなんて言う選択肢は取れなかった。
そんな事を考えていたら教室の前についた。
そして教室の扉を開けると珍しいものを見ることになった
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