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第一章・2

 第二性がオメガの宇実は、見た目が中性的だ。  低い背丈に、華奢な体つき。  白い肌に、淡い色の髪。  そして、整った顔立ちをしていた。  そんな彼を餌食にする、汚れた大人は大勢いた。  黙っていると、痴漢はさらに大胆になってくる。  とうとうその手が、宇実の体の前に伸びて来た。 (嫌だ!)  そう思って目を固くつむった途端、手が急に離れた。  それと同時に、低い、だがハッキリとした声が耳に届いた。 「無抵抗の人間に痴漢など。卑劣な!」  は、と声の方を見ると、そこには背の高い男子生徒が立っていた。  少しウェーブの癖がある、黒い髪。  真っ直ぐな眼差しに、高い鼻梁。  薄く引き締まった唇は、怒りをあらわにしている。  そして。 (僕と同じ制服!?)  彼は、宇実と同じ高校の生徒らしかった。

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