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第二章・2

「ね、清水くん。お昼を一緒に食べよう」 「いいよ」  休み時間、すぐに宇実の席へとやって来た要は、昼食を誘ってくれた。 「カフェテリア、あるかな。何か、ご馳走するよ」 「カフェテリア? 学食のこと?」  そんな洒落た場所ではないが、学生のための食堂は宇実の学校にもある。  そこで一緒に、お昼を食べる約束を交わした。  物理教師が教室に入って来たのでお喋りは中断され、要は後ろの席へ戻る。  残された宇実は、一人でドキドキしていた。 (お、お昼ごはん一緒に食べるだけだ、って!)  自分にそう言い聞かせ、こっそり深呼吸をする。  恋なんて。  恋なんか。  僕の未来の邪魔になるだけなんだから。 (僕には、卒業後の計画がある)  そのためには、恋なんかしてる場合じゃないんだ。  天羽くんは、あくまで友達。  それ以上でも、それ以下でもない。  宇実は心にそう決めて、ペンを手にした。

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