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第二章 指切りげんまん
「天羽 要です。よろしく」
「天羽くんは、秋に海外の大学に進学する前に、本校に体験入学することとなりました」
担任の教師にそう紹介を受けた、要。
彼が軽く会釈をすると、宇実は拍手をした。
自然に拍手でいっぱいになった教室の、一番後ろに要は座った。
(天羽くんと、同じクラスになれたなんて!)
朝の電車で知り合った、友達。
宇実は、素直にその偶然を喜んだ。
ちらりと後ろをうかがうと、要は小さく手を振っている。
その姿に、宇実の頬は熱くなった。
痴漢から救ってくれた時の、凛々しい要。
そして今、親し気に手を振ってくれる、優しい要。
どちらの彼も、好きだ。
(好き!?)
自分の心に浮かんだ言葉に、宇実は動揺した。
(好き、とか!? 無い無い! さっき出会ったばかりなのに!)
両手で頬を挟むようにして、軽く叩く。
(それに、僕には恋なんてしてる暇は無いんだから)
しゃんと背を伸ばしテキストを開いたが、それでも後ろが気になってしまう宇実だった。
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