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破瓜 5
もう少し、
あと少し、
内に留まりたいと思うも、体は意思を裏切って駆け足のように高まって行く。
「ぅ、……ふ、ぁ、っ ぁっ」
揺さぶられる刺激に翠也の悩まし気な声が零れる。
彼の最奥を犯し尽くし、叩きつけるように内へと欲しがっていた白濁の液を吐き出した。
俺を引き抜いた穴からこぽりと白いとろみが流れ出るのを見ると、得も言われぬ征服欲が満たされる感覚がする。
四肢を投げ出しあられもなく秘部を見せる卑猥さが、ふつふつと湧き上がるように犯しきったと感じさせたが、同時に破瓜の苦痛で達することのできなかった翠也自身を晒していた。
「翠也」
呼ぶも、荒く息を吐く彼からの返事はなく、俺は汗と体液に塗れた足を掴んで翠也の股間に顔を埋める。
「──ひぅっ」
その刺激にすら、彼の体はぴくりと動いただけで……
俺は抵抗のない彼のものを吸い上げ、喉を潤すようにそれを飲み下した。
湿っぽくなった布団を避けて子供のように床に転がるが、腕の中の翠也は背を向けたままだった。
嗚咽も、震えもないその背中にかける言葉を見つけることができず、ただ天井をぼんやりと見る。
幾らかして、もぞりと翠也が動いた。
「……卯太朗さん」
掠れた声に、喉が枯れているのがわかる。
「今水差しを……」
「いえっ……あの、ありがとうございます」
「え?」
動きづらそうに顔をしかめながらこちらを向くと、熱の引ききっていない頬を胸に寄せてきた。
「あれほど苦しかったのに……今は凄く穏やかです」
額の汗で貼りついた髪を払い、頬に手をやる。
「……そうか、辛かったろう? 痛いところはないかい?」
ふ と唇に笑みを乗せて、翠也は柳眉を下げた。
「女の人と言うのは、いつもこんな大変な目に遭っているのでしょうか?」
「初めて以外はさして痛みはないと言うが……」
経験がないことを聞かれても、そうとしか答えようがない。
「そうですか……では、次はもう少し楽になりそうですね」
次。
翠也の言葉にほっと胸を撫で下ろす。
あまりにも苦し気な姿に、彼の目が醒めてしまうのではと言う危惧が頭から離れなかったからで……
この体を知った後で取り上げられるなんて、生きた心地がしない。
青臭い果実の奥に隠されていた眩暈がするほどの艶めかしさ。
許されるならば今この瞬間でさえも、押し倒したいと思うほどだ。
汗に塗れた彼の鼻先を突っつき、軽く片眉を上げて忠告する。
「でも、あの手の本はもう読まない方がいいな」
「あの……本?」
繰り返した瞬間に暗い部屋でもわかるほどに赤くなった翠也の顔は、今夜一番の紅さだったかもしれない。
「あっ……あれはっ……」
「あんな誘い方を習得されては、身が持たない」
「ちが、ちがいま……っなに、なにも、知らないままは、っ……卯太朗さんにご迷惑をかけてしまうのではと……っ」
「勉強した?」
「べ っ……はい、 」
口の中で「そうです」と呻く彼にくすくすと笑って、その細い腰を抱き締めた。
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