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埋火の欠片 2

 俺でこれほど動揺しているのだから、実際に本人に会わなくてはならなかった翠也の胸中は計り知れない。 「……まだ、学校に通われているそうなので、卒業してからだそうです」  何を と、翠也は言わなかったし問うこともできなかった。  何度も脳内で繰り返したのか、淡々と告げられて返したらいいのかわからず俯くしかできない。  結婚するな と言える立場ではない。  どのような人だったかと聞くのも違うだろう。 「────わかった」  長い時間考えて、それだけを言うことができた。 「わからないでくださいっ!」  胸を、拳が叩く。 「わかったって何ですかっ! それは……僕との関係を終わらせると言う了承ですか!?」 「っ! そんなことあるわけないだろう!」  振動を与え続ける拳を掴み、喚き散らす翠也の気を引くために揺さぶった。 「っ……」 「俺はっ! 終わらせたくなんかないっ!」  怒鳴りつけ、身を捻るようにして床に乱暴に転がし、衝撃に喘ぐように開いた唇を貪るように奪う。  がち と当たった歯の音がし、唾液に金臭い味が混じる。  舌を挿し込むといつも迎え入れてくれていた舌が逃げ、俺はその反応に苛ついて更に深く舌を伸ばした。 「ふぁ……っぁ  っ」  赤い筋を交えた唾液が端から溢れる。  縮まる舌は容易には捕まらず、しかたなしに唇を離した。 「っ、は  ぁ」 「翠也、君の舌は俺のものだ。出すんだ」  はっきりとそう宣言すると、組み敷かれた体が震える。  流れ出る涙と共に、紅珊瑚色の舌先がちろと姿を見せるので、それを絡め取って軟体動物のような湿った水音を立てた。 「君の腕も、俺のものだ」 「……は、ぃ」  啜り泣きながら、それでも腕は俺の首へと絡む。 「足もだ」 「はい」  硬く閉ざされていた脚が、おず……と開いて俺の手を受け入れる。  掌全体で撫で上げ、付け根へと移動しながら続けた。 「陽物も、俺のものだ」 「  っ」  細い体が一瞬跳ねる。 「…………はい  」  返事を聞いてから、前の膨らみに触れる。  しっかりと反応を見せ始めた若い牡を布の上から弄り、耳元に唇を寄せて囁く。 「顔も、頭も、胸も、腹も、尻も……ここも、すべてだ」  褌に割り入り、指をその奥へと進める。 「んっ……」 「この奥も、臓腑の一片、血の一滴まで俺のものだ」  柔らかなそこを指で犯し、喘ぐ口を唇で塞いだ。   「放さない」  脳の中に流し込むように呟く。 「はっきり言っておく、俺には君との関係をやめる考えは一切ない」  首に回された腕に力が籠る。

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