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元の迷走神経反射
【元サイド】
治療室①
この部屋に入るだけで心臓がバクバクして息が詰まりそう。
手足を固定する時に使うヒモとワゴンに乗っている色々な医療器具
これ全部俺に使うんだ。。。
見慣れてるはずなのに、今日は凄く怖く見える
ガラガラ
ビクッ!
看護師「元君、先生そろそろ来るから下着脱いで待っててね?」
よかった、看護師さんか。
はぁ…もう来るんだ……緊張で手が震える
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扉が開く音と共に加藤先生が入ってきた
加藤「あれ、まだ脱いでないの?」
元「………」
加藤「聞こえてる?」
元「……先生……
……お腹痛い…はぁ…はぁ…」
ダメ。。。無理
加藤「どうした?」
元「はぁはぁはぁ……」
あれ…視界がボヤけてきた…
全身の力が抜け、前に倒れ込む直前に加藤先生に受け止められ、抱き抱えるように寝かされた。
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加藤「元、元ー、目開けれるか?」
肩をトントンと叩かれゆっくりと目を開けると加藤先生が顔を覗きこんでいた。
加藤「分かる?」
ゆっくりと頷いた
加藤「お腹痛かったの?」
「……急に」
加藤「今は?」
「ちょっと。」
朝ごはん食べたのかとか今日うんちしたのかとか色々聞かれたけど、そんな事より今日の治療が気がかりで仕方ない。
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加藤「休んで回復したら治療始めるから、少しここで休んでて、先生スタッフルームにいるから何かあったら呼んで?」
え……。
元「……出来……ない……グスン……」
加藤「ん?治療が出来なそうなの?」
どうにか言葉を振り絞って気持ちを伝えたけど、涙が止まらない。
先生の方から今日は辞めようと言ってもらえる事を期待したけど、そうもいかなそう。
加藤先生の不機嫌そうな声のトーンが怖い。
元「………グスン……っ…」
やりたくないとも頑張るとも言えない……
早くこの場から逃げたい。
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