260 / 536
悪い予感
【加藤サイド】
とりあえず隣に座らせて泣き止むのを待ちながらパソコンで担当の子達のカルテを確認。
…………ただ……
なんか変なんだよな。
手を止め、勇人の様子をしばらく観察していると時々肩で呼吸を繰り返し胸の辺りを気にしていた。
加藤「気持ち悪い?」
勇人「…気持ち悪い……
ドキドキする…」
ドキドキ?
加藤「ん?そっち?」
勇人の手首を掴み脈を測った。
あぁ…これダメだ。
加藤「看護師さーん!勇人集中治療室入れるから準備して」
看護師「はい!?」
勇人「気持ち悪い……」
加藤「はいはい、ごめんね気づくの遅かった」
勇人を抱えて急足で集中治療室のベッドに寝かせた
勇人「ゲボッ」
てっきり胃部不快による吐き気なんだと思ってたけど心負荷による吐き気だったのかよ。
心電図を付けると通常80前後が正常とされている脈拍が150と表示され、慌てて血圧計を巻いた
加藤「点滴の針挿れるから準備してー」
看護師「はい」
加藤「誰か森田先生か佐々木先生呼んで来て」
看護師「はい!」
血圧ガッツリ落ちたな
加藤「酸素マスク付けてあげて」
看護師「はい!」
森田「血圧落ちたんだって?」
加藤「はい」
森田「勇人辛いね。点滴の針挿れさせてね」
促進剤は血管を拡張させる作用があるから少量ずつ投与が必要な薬なんだけど、勇人の場合は少量でも作用が強く出てしまう体質なのか……そもそも薬が合わないのか……
正直この量で血圧低下が起こるのは稀で、俺らもまさかこの量でこんな事態になるとは予測していなかった。
森田「チクッてするよー」
チクッ
勇人「痛い泣」
森田「危ないから動かないよー」
促進剤の作用を消す薬を投与すると徐々に血圧が上がってきた
意識消失する前に気づけてよかった……
・
・
・
森田「勇人気持ち悪いの治ってきた?」
勇人「…ぅ…ん…」
森田「ごめんね、気づけなくて」
勇人「…………」
森田「先生いいよって言うまでしばらくベッド安静ね?」
勇人「…は…ぃ」
森田「尿の量もしっかり測りたいから管挿れさせて」
勇人「…ゃ…だ…」
森田「…カテーテル準備して」
ともだちにシェアしよう!