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目標共有③
【勇人サイド】
パンツを履き終え処置台に座ると斜め前に森田先生が座り、目線を合わせるのが少し恥ずかしくてとりあえず森田先生のスニーカーを観察してみた
森田「さっき退院したいって言ってたじゃん」
勇人「……ぅ…ん…」
(改めて聞かれると気まづい……)
森田先生の視線を感じチラッと森田先生の顔を見ると真剣な眼差しでこちらを見ていた
森田「退院は出来るけどさ、すぐには出来ないってことは勇人分かってるのかな?」
勇人「……ぅ…ん…」
森田「勇人の感覚的にはあとどれくらいで退院出来そう?」
(……そんなの考えたこともなかった……)
勇人「…わか…ん…ない……」
森田「目標はあるの?」
勇人「……分かんない…グスン……」
なんか分からないけどポロポロ涙が溢れてくる
勇人「…………」
森田「焦りを感じたきっかけがあるんでしょ?」
勇人「……大部屋出たら…ほとんど知らない子達だったし………6号室に来てた子達の中で僕が一番長く入院してた……」
森田「……勇人は2号室にいたからね、他の部屋の入退院の早さにはびっくりしちゃうかもね」
勇人「…………」
森田「2号室はさ、元も悠太も長期入院してるからそこにまた入れられたら良かったんだけど、空床がなくてさ」
勇人「うん……」
森田「6号室はたくさん子供達が集まってくるから色々な情報で溢れてるでしょ?」
勇人「うん」
森田「1人1人病気も症状も違うから、退院が遅い早い、自分と別の治療をしていても惑わされないでね?」
勇人「……はぃ…」
森田「退院させるとは言っても課題は山積みだからさ、先生達厳しい事も痛いこともするけど、今までみたく食らいついて来てね」
勇人「…はい……
1つ聞いてもいいですか?」
森田「いいよ」
勇人「………半年…治療して治らなかったら別の病棟に行くって本当ですか?……」
森田「…………」
勇人「別の病棟行ってまで痛い治療したくないし……ここの先生じゃなきゃ嫌……」
森田「…なるほど……勇人が先生達のこと慕ってくれてるのは素直に嬉しかった。ありがとう
別の病棟に移るっていうのは友達から聞いたの?」
勇人「…うん……」
森田「じゃあそれはハッキリ否定させて」
『病棟移動はない!』
森田「勇人みたく勘違いして不安になってる友達がいたら、森田先生が移動はないって言ってたって言っていいから」
勇人「うん……」
森田「大丈夫、治るまで先生達ずっといるから」
勇人「うん///」
これなんだよな……森田先生の白黒をハッキリ話してくれるところ、方向性を示して線路を引いてくれ、間違った道を進もうとしている時には、いち早く気がついて戻してくれるところ……
こういう頼りになる先生だから大好きなんだ……
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森田「それで、俺のスニーカーずっと見てたけど何か発見あった?」
勇人「カイト君とおそろい」
森田「ホントに!?笑」
勇人「カイト君これのネイビー」
森田「そうなんだ笑」
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