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Virgin Mary 5

圭人・・・ 今、なんて言った・・・の? 俺の聞き間違いかもしれない・・・ 都合のいいように俺の聞き間違いしたのかも・・・ 今、眼の前にいる圭人はあの夜から いつも夢の中で逢う圭人みたいに 俺が言って欲しいこと 俺がして欲しいことを 全部叶えてくれる・・・ その・・・圭人なの? 顔を上げてそっと手を伸ばす。 指先が圭人の頬に触れた。 「夢・・・じゃないよね?  夢の中の圭人じゃないよね?」 「夢の中の俺は馨さんに何をしたの?」 「え・・・?  そんなこと・・・言えない・・・」 「俺は・・・勝てそう?  馨さんの夢の中の俺に・・・」 「圭人が・・・圭人が本気なら・・・」 「俺はいつだって本気ですよ?  あなたが相手なんだから・・・」 もたれていたクッションごと優しく背中から抱きしめられた。 圭人の髪が頬にかかる。 柔らかな髪・・・ 「もう一度言うよ。  俺はあなたが欲しい・・・」 吐息混じりの囁きが耳元を擽る。 「俺も、圭人が欲しい・・・  もう・・・ずっと前から・・・・」 「今日は途中で止めません・・・よ?  何があっても・・・  もしかしたら馨さんを傷つけてしまうかもしれない。  それでも・・・」 「それでもいい!  だから・・・だから・・・  俺を圭人のものにして!  お願いだから・・・」 「あなたを俺のものに・・・」 頬に手を添えられ唇を重ねる。 薄く開けた唇の隙間から圭人の舌が入り込んできた。 ・・・浅ましい・・・ そう思ったけど自分から舌を絡ませる。 そんな俺の舌をしっかりと捕らえて絡ませてくれた。 上顎を擽られ鼻から甘い吐息が漏れる。 「ん っ ・・・」 優しく唇が離れて行く。 キスは何回もしてるけど・・・ なんだか今日は恥ずかしくて眼が合わせられない。 「馨さん・・・  俺を見て・・・」 そっと腕を掴まれソファーから立ち上がらせられた。 圭人が屈んで俺の顔を下から覗き込み ニッコリと微笑みかけられた。 「今日の馨さんはいつも以上に綺麗だよ?」 「バ、バカ!  ・・・何を急にっ・・・」 「ホントだから・・・  俺、きっと止まれない・・・  覚悟はできてるんですよね?」 「圭人こそ・・・  これだけ言っておいて・・・  途中で止めたら許さないから・・・」 「じゃ、行きましょうか・・・?」 そう言うと俺の背中と膝裏に腕をかけて 圭人が俺を軽々と持ち上げた。 ・・・小柄の特権かもしれない・・・ 抱き上げられるととても幸せな気分になる。 俺を持ち上げて運んでくれる圭人の腕の中が心地よかった。 そっと・・・ まるで壊れ物を扱う様にベッドにおろされる。 全ての動作が優しくて・・・ 少しもどかしさを感じるぐらい。 もっと・・・ もっと・・・ 性急でもいいのに・・・ 真っ暗だった寝室に明かりが灯された。 ほの暗いスタンドの明かり。 お互いの顔がやっとわかるぐらいの明るさ。 軽く口吻けられる。 啄ばむように 軽く・・・ 軽く・・・ 口吻けの合間にシャツのボタンが外されていく・・・ ひとつ、またひとつ・・・ 露にされた胸元に圭人の舌が這う。 探すように 確かめるように。 突起を口に含み舌先で擽るように愛撫された。 「ふぁっ、んっ・・・」 シーツから手が離れ圭人の頭を抱え込んでしまう。 押しつけるように・・・ もっと愛して欲しくて・・・ それに応えるように 俺を責める圭人の舌の動きが激しくなった。 片方は指先で捏ねるように愛される・・・ 「あっ・・・はぁ、んっ・・・ふ・・・っんぁ・・・」 嬌声が抑えられない。 自分が出しているとは思えないような甘く上ずった声。 恥ずかしくて・・・ でも・・・ 抑えられない・・・ 「ん・・・んっ・・・ん・・・っ」 下唇を噛み締めて声を抑えてみる。 浅ましい声を圭人に聞かせたくなくて・・・ 「馨さん・・・どうして?  声を聞かせてくれないの・・・?」 噛み締めた下唇を そっと指先でなぞりながら 圭人が心配そうな眼で俺を見つめる。 「だ、って浅ましい・・・よ・・・恥ず、かしい・・・」 「そんな・・・俺は浅ましいなんて思ってないよ。  俺がやってることに感じてくれてる・・・  浅ましいなんて思うわけないでしょ?」 「で、も・・・」 「馨さん・・・キレるよ、俺・・・声、聞かせて・・・  あなたの綺麗な声を・・・・」 カリッと突起に歯を立てられた。 「あんっ・・・」 「馨さんの歓ぶ声・・・  賛美歌みたい・・・もっと、もっと・・・聞かせて・・・」 ・・・圭人がそう言ってくれるなら・・・ 俺は声を抑えるのをやめた。 与えてくれる愛情に全て素直に応えよう。 それが圭人の望みなら・・・ 俺の全ては圭人のものだから・・・ 伸ばされた手で下肢が露にされる。 恥ずかしいけど・・・もう抵抗する気はない。 早く・・・ 早く・・・ 圭人の熱で満たされたい。 膝を割って俺の脚の間にカラダを納めた圭人の眼の前には 愛撫を待ち望んで密を零す俺。 厭らしく誘うように揺れている。 「そんな、に・・・見ない・・・で・・・」 「どうして?  俺は馨さんの全てが見たいのに・・・」 「圭人・・・ヤダ、はや、く・・・っ・・・」 俺の伝えたいことがわかったのか 圭人を求めて揺れる俺を口に含むと 激しく舌をからめて吸いつきながら擦りあげられた。 「ひあっ・・・んっ・・あっ・・・・」 あまりにも急で激しい衝撃に 俺は一気に昇りつめて圭人の喉奥に白濁を吐いた。 圭人は何の躊躇も見せずそれを全てを嚥下すると 汗ではりついた俺の前髪を掻き分けながら囁く。 「馨さん・・・俺、幸せだ・・・」 「俺は・・・まだ・・・幸せじゃない・・・  圭人が・・・圭人・・・が・・・」 「わかってるから・・・焦らさないで・・・  ゆっくりと、ね・・・馨さん・・・」 そう言って微笑むと圭人は俺を俯かせ 首元からキスを始め・・・ 肩、背中へと移って行った唇が 圭人を求める双丘へと降りて行った。

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