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 そして視界が急にひらけた。陽の光がやけに眩しい。  可能な限り目を閉じずに周囲を見渡すと、小鳥の姿が目に入った。  あの音の正体は、小鳥の囀りだった。小鳥たちから同じ音がしている。  よくよく見ると、小鳥以外にもウサギやリスといった、小さな動物たちがたくさんいる。  こんな森の奥に、ひっそりと動物たちが棲んでいる。レオは驚きしかなかった。  その中央は、レオをさらに驚かせた。  人がいる。  見たこともないその人は、銀色の長い髪を美しくなびかせている。それはまるで、おとぎ話から出てきたように美しい。  慈しみ深い笑みは指先に止まらせた小鳥に向けられ、レオの存在には気付いていないようだ。  正体も分からない存在にもかかわらず、レオの視線はその人に釘付けになって離せなかった。いくらか心臓の鼓動が速く脈打ち、どうしたものかと思ってしまった。  ふと、ここは森の奥という危険な場所であることを思い出した。今は魔物の姿はないけれど、いつ襲ってくるか分からない。  レオは目の前の人物に近付いていき、声を掛ける。 「ねえ」  突然のことに全身を大きく震わせ、笑顔は一気に消えてしまった。そしてその顔は、恐怖に包まれてレオの方を見た。  そこまで驚くことはないのに。  それでもレオは笑みを崩さずに話し続ける。 「ここは危ないよ。恐ろしい魔物が棲んでいるんだ」

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