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「えっと、その……」
震えている声は、すっかりレオにおびえていることを露わにしている。
同時に、少し低い声が、男であるとレオに分からせた。
ただ話し掛けているだけなのに、ここまで恐怖される理由が分からない。
もしかしたら、レオには見えない恐ろしいものが彼には見えているのだろうか。
それでも、彼がここにいるのは危険しかない。
「どうしたの?」
そう言いながらレオが手を伸ばすと、彼は思い切り手を引っ込めた。
「ねえ!」
負けじと、ぐい、ともっと手を伸ばす。今にも走って逃げそうな彼の腕をようやく掴んだ。
触れた部分から伝わる彼の震えは、明らかに恐怖を抱いていることを感じさせる。
一体何が怖いのだろうか。
彼の視線はレオに向けられているが、口元を震わせるだけで何も言葉を発しようとしない。
レオは聞き出したい欲をこらえつつ、じっと彼を見つめる。口元の笑みを保ちつつ。
「あ、あの……」
ようやく彼は口を開いた。今にも泣き出しそうなほど声は震え、目元も潤んでしまっている。
「大丈夫……?」
これ以上言葉がなく、レオは再び問い掛ける。
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