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基準は三回✦side蓮✦終 ※

「……ん……、はぁ……っ……」  首筋に舌を這わせながらキスをする。ゆっくり優しく。ゆっくり優しく。  ベッドにそっと秋さんを寝かせ、また唇を味わった。   「……んぅ……っ、ン……れん……」    チュッとリップ音で唇を離し、また口付ける。  唇でじゃれ合って二人で笑った。  そんな無防備な秋さんの乳首を指で弾くと「ンあぁ……っ」と声を上げてビクビクと身体を震わせた。  乳首をつまんで撫で、爪でカリカリといじりながら首筋を舐めあげる。秋さんが鳴いてよがり、上半身が横を向いた。すかさず俺は、うなじに吸い付く。   「はぁぁっ、……んっ……」    ひときわ高い声に嬉しくなった。  完全に横を向いた秋さんの背中にまわり、うなじから背筋に舌を這わしながら胸の突起もいじる。   「あぁっぁ……っ、やめ……っ、……ぁ……」  ビクビクと反応する秋さんの身体。背中がこんなに弱いなんて知らなかった。まだまだ新しい発見に嬉しくなる。  そのまま舌を滑らせ脇腹まで舐めあげると、悲鳴に近い声が出た。 「れんっ、それっ、むりむりむりっ、あぁ……っ」 「そんなこと言われると余計に攻めたくなっちゃうよ?」  身体の痙攣がすごい。秋さんは、乳首をいじる俺の手をギュッとにぎった。 「あっ、あ、やっ、ん……っぁ……」  やだ、と言われても、ビクビク震える秋さんが可愛くてやめられるわけがなかった。  乳首をキュッとつまみ、脇腹から脇までツーッと舐め上げた。 「んんっっ! あぁあ……っ!」    まるでイッたときのように声を上げ、秋さんは背中をのけぞらせた。   「え、イッた?」    思わず確認した。あ、イッてない。   「い、イッちゃう……も、やばい……むり……っ」    ずっと身体が震えてる。本当にもう限界なのかもしれない。   「秋さん……可愛い。もう入れていい?」 「ん、ほしい。入れて……」    ゴムで準備してローションをたらす。指で確認すると、まだ充分に柔らかい。  そのまま横抱きで秋さんの中に入っていった。   「は……ぁっ、……え、横から? ん……っン……」 「前がいい?」 「……たまには……いい……。ぁあ……っ……」    耳を舐めながら脇腹を撫で、秋さんの中をゆっくりゆっくり出入りした。   「あぁ……っ、あ……っ、耳だめ……っ、わ、脇腹も……んっ、はぁ……っ……」 「でも……中がキュッてなる……。気持ちい……」 「あ……、あっ、だめ……おれすぐイッちゃ……う……っ、んんっ……」    いつもなら、いいよイッて、と言うところだ。でも、今日はもうさすがに秋さんが先にイッちゃうと、もうそこでやめるしかない。さすがにそれはつらい。  可愛いのに残念。  俺は耳攻めをやめ、脇腹の手は秋さんの腕をたぐり寄せて手を繋いだ。   「ん……れん……っ、あ……っ……」    秋さんの手が、きゅっと可愛くにぎり返してくる。  こんなにゆっくり秋さんと繋がるのはいつぶりだろう。  最近は、お互いに激しく求め合ってばかりだった。   「愛してる……秋さん……」 「ん……おれも、……あ……ンっ、愛……してる……っ……れん」    可愛い。愛しい。俺の秋さん。  なんだか無性にキスがしたくて我慢ができなくなった。俺は秋さんの中からそっと自身を抜いた。   「れん……?」 「ん、やっぱり前から……」    秋さんと向き合って見つめ合う。  嬉しそうに目を細めて、秋さんが俺の首に腕をまわす。   「俺もいま……前からがいいって思ってた」 「同じだったね」 「ん、すげぇ嬉し……んっ……」  唇を奪うようにふさぎ、秋さんの中に俺自身をゆっくりと沈めていった。 「はぁ……っ、あっ……」    同じ気持ちでいることが、なによりも嬉しくて幸せだ。  頭を撫でながら舌を絡め、ゆっくりと腰を動かして優しく秋さんを抱いた。  ゆっくり優しく。ゆっくり優しく。  すると、秋さんの目尻から涙がこぼれた。  その涙を唇で吸い取るようにキスをする。 「どうしたの?」 「わ……わかんねぇ……。なんか……すげぇ幸せで……」 「秋さん……俺も幸せ」  首にまわった腕にギュッと力が込められて、吸い寄せられるようにキスをした。  抱き合うときはお互い求め合って、いつも激しいキスになる。  でも、今日はゆっくり繋がっているせいか、俺も秋さんも自然とゆっくり優しいキスになった。  繋がっている部分から、唇から、全身から、愛してるの気持ちがあふれて止まらない。  身体中が満たされて幸福感に包まれた。  これ、すごい好きだ。  ゆっくり愛し合うの、俺すごい好きだ……。    だんだんと秋さんの中がキツくなってきた。  漏れる吐息が増えてくる。  もうすぐ限界がくる。それが伝わってきて、俺の気持ちよさも倍増した。   「はぁ……っ、れん……も……イク……っ……」 「うん、俺も……っ」 「おく……っ、奥突いて……っ」    秋さんの言葉に導かれ、ぐっと数回最奥を突いた。   「ああぁっあ…………っっ!!」 「……く…………ぁっ…………」    秋さんと同時に果ててベッドに倒れ込み、秋さんを横からぎゅうっと抱きしめた。  すると秋さんが、俺の胸に顔を押し付ける。   「れん……」 「うん?」 「すげぇ……愛してる……。めちゃくちゃ愛してる……。ほんとに愛してるよ…………れん……」 「秋さん……?」    秋さんの声が震えてる。いまのは涙声だった。どこか様子がおかしい。 「秋さん、どうしたの……?」  頭を撫でて優しく問いかけた。   「……なんか…………なんかすげぇ……愛してるがあふれた……」  震えるほどの涙の理由があまりにも幸せすぎる。思わず俺も泣きそうになった。   秋さんの腕が背中にまわって、しがみつくようにぎゅっとされる。   「いまの……俺すげぇ好き……。なんか、わけわかんねぇくらい……幸せすぎた……」  秋さんと俺の気持ちがシンクロしていた……。嬉しくて心が震える。 「俺も…………俺も同じこと思ってた。ゆっくり愛し合うの、すごい好きだって」  そう伝えると、秋さんが腕の中でふるっと震えた。 「…………泣かすなって……ばか……」 「愛してるがあふれてるだけでしょ?」 「……そ……っか。そうだったな……」  上がった息と涙が落ち着くまで、俺たちはぎゅっと抱きしめ合った。  後処理を終わらせて、シャワーに入ろうと言うと秋さんは首を横に振る。 「朝でいいだろ?」  いつも入るのに珍しい。 「うん、それはいいけど……」 「じゃ、寝よ」 「うん……」  床に散らばったパジャマを拾おうとした俺は、秋さんに引っ張られベッドに寝かされた。 「……っえ?」    驚く俺に、秋さんが甘えるようにすり寄って、腕の中にすっぽりとおさまった。 「今日はこのまま寝る」 「か、風邪ひくよ……」 「もったいねぇじゃん……」 「もったいない?」 「愛してるがあふれたまま寝たいじゃん……。シャワーとか……パジャマとか……今日はいらねぇ……」 「あ……秋さん可愛すぎ……っ」  ぎゅっと抱きしめると、秋さんが胸にグリグリと顔を押し付けてきた。  もう可愛いすぎて心臓壊れる。 「ふはっ。心臓やば……」 「あ、秋さんのせいだよ」 「うん。安心する……」  秋さんが愛おしそうに胸にチュッとキスをした。   「……なぁ蓮」 「うん?」 「……次するときも、さ。また……ゆっくりがいい」    そんな可愛いお願い、喜んで聞くに決まってる。  秋さんの身体にも喉にも優しくて、わけがわからなくなるほど幸せなんて最高だ。  そうだ。やっても三回の基準も、これからはこの愛しかたを入れて四回に変えよう。 「うん、俺もゆっくりがいい」 「ん……絶対……な……」    やっぱり今日は無茶をしすぎたようで、秋さんはスッと眠りに落ちていった。  本当に可愛い。俺の秋さん。 「愛してる」  幸せそうに眠っている秋さんのまぶたに、俺はチュッとキスをした。    end.  

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