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舐める? SS

 ✦side蓮✦ 「なぁ、蓮」 「ん? なに?」 「舐める?」    それはあまりにも唐突だった。  パジャマ姿でソファにくつろぎ、深夜のお笑い番組を観ながら俺が腹を抱えて笑った時だった。  秋さんはそんな俺のひざ枕で横になっていた。   「え? ……と」    舐めると聞いて、もう俺の頭にはソレしかなかったけれど、あまりに急で戸惑った。  舐めるって何を? 俺が? 秋さんが? どっち?  聞き返そうと思ったら、秋さんがひざの上でクルンと転がって俺の腹側を向く。  いや、腹というより……。   「舐める?」    ソレのあたりをじっと見つめて秋さんが繰り返す。  舐めるのは俺じゃなくて秋さんが、らしい。   「き、急にどうしたの?」 「んー? 舐めようかなぁって思って」    秋さんが急に誘ってくることはよくあるけれど「舐める?」なんて誘われ方は初めてで、心臓が暴れて一気にそこに熱が集まっていく。   「ふはっ。もう半勃ちじゃん。可愛い」 「そりゃ、勃つでしょ……」  情けない声が漏れる。  秋さんはクスクス笑いながらズボンを下ろしてパンツをずらし、期待に膨らんだソレを取り出しふるふると揺らす。   「ほら、もっと元気になってきた」 「秋さん……揺らさな……っ、はぁっ、……あ……」    パクっと口の中に入れられ、じゅるじゅると音を立ててしゃぶる秋さんに興奮してクラクラする。   「ん……おっひふなっは……」 「うっぁ、秋さん……気持ちい……」    完全に勃たせたあとは咥えるのをやめ、裏スジを舐め上げたり、先っぽを舌でチロチロしたり、まるで遊んでいるかのようにゆっくりと舐め、片手でふぐりを優しく揉む。   「は……っ、秋……さん……」 「ん……蓮、いいよ。お前はお笑い観てろよ」 「えっ? ぅ……あっ……」  亀頭を優しく口に含み舌でゆっくり舐められ、頭が真っ白になっていく。  こんな状態でテレビなんて観られるわけがない。 「はぁ……っ、も……イきそ……っ」 「は? まだ全然本気出してねぇぞ?」 「だ……って、最近なんか……秋さん上手すぎる……」 「そう? お前のしか舐めてねぇのに上達する?」 「してるよ……上達……ぅあ……っ」    集中的な亀頭攻めとふぐり揉みに限界がやってきた時、秋さんの口が離れていった。 「え……なん、で?」  ふぐりをさわさわと撫でながら、じっと俺の顔を見つめてくる。 「秋さん……?」 「いいから、お前はお笑い観てろって」 「え……? あの……これ、終わり?」 「いや?」 「あ……そ、そう……」  なんだろう。焦らして遊ばれてるのかな。  言われた通りにテレビに視線を戻すと、今度は秋さんが手に唾液を垂らして俺の亀頭を手のひらで包み、クルクルと撫で始めた。   「うっ、ぁ……っ」    これやばいっ。やばいってっ。  身体を起こした秋さんが、今度は俺のシャツをめくって乳首まで舐め始めた。   「はっ、あ……っ」    亀頭と乳首の同時攻めに、脳がショートしかける。  待って待ってっ。これ無理っ、待ってっ。   「あ、秋さん待ってっ!」 「なに、いいからお笑い観てろって」 「み……観れるわけないよ……っ」 「なんで。いいじゃん、俺は勝手に遊んでるからさ」 「遊ぶ……って、まっ、う……ぁ……っ!」  なに、どうしちゃったの秋さんっ。  本当に最近、秋さんは俺をイかせるのが上手すぎる。  特にこの亀頭攻め。それからふぐり。  それに俺、乳首はくすぐったいだけだったのにっ。 「ま……っ、待ってっ、まっ、ぅあ……っ!」  腰が浮いて一気に達し、脱力した。  秋さんがふはっと笑って「かわい」と小さく漏らした。  ✦side秋人✦ 「かわい」  やっぱり可愛いな俺の蓮。  蓮は俺のフェラが上手すぎると言うけれど、亀頭に触れるといちいち腰が浮く蓮がわかりやすいだけだ。 「あーやばい。これ癖になりそ」  突然襲うのも、たまにはいいな。 「癖……って、嘘だよね……?」 「んー?」  それはちょっとしたイタズラ心だった。  蓮がお笑い好きなのは知ってるし、これのどこが面白いんだ? ってのにも本気で笑う蓮を可愛いと思ってる。  でも、もうかれこれ一時間半も俺をほったらかしで笑い続けていて、いつもなら呆れながらも付き合って観るのに、今日はなぜかテレビに嫉妬した。少しも俺を見ない蓮が面白くなかった。  ソファの上でぐったりとした蓮が、紅潮した顔でまっすぐに俺を見つめる。俺がほしいという瞳で。 「ベッド、行く?」 「……行かない」 「え、あれ?」  火がついたと思ったのは気のせいか。なんだ、がっかり。  そう思った瞬間、蓮が立ち上がって俺の足元に回る。 「蓮? あ、ちょ……」  そして無言で俺のズボンとパンツを下げた。  フェラがくる、そう思って身構えると、蓮が手のひらに唾液を落とし俺のそれに塗りつけた。 「なに、あ……ぁっ……」  俺のものが元気に勃ち上がると、今度は手のひらで亀頭を包みクルクルと撫で、シャツをめくって乳首を舐める。完全にさっきの俺の再現だ。 「ア……ッ、んんっ……」  蓮の時と同じように、俺も何度も腰が浮いた。  あまりの気持ちよさで昇天しそう。うわ……なにこれ……やばいっ。  蓮を攻めてる時はただ可愛くて楽しかったけど、これはやばい。まじでやばい。もうやばいしか出てこない。 「んンッ、あっ、イク……っ」  弾けそうになった途端、蓮の手と口が止まり離れていった。 「へ……? なんで……」 「どう? 寸止め」  してやったり、という顔で蓮が笑う。 「なん……だよ、仕返し……?」 「まぁ、それもあるけど」 「けど、なに」  イきたかったのにイけなくて、不貞腐れた声になる。  強烈な射精感を感じている時は大丈夫だった後ろのうずきが、今ごろやってきて身体が震えた。  ほしい……早く。  蓮……。  もう自分で後ろを準備しようかと思った時、蓮が一瞬ソファから離れ、すぐにまた戻ってくるとパチンと聞き慣れた音が響く。そして、すぐに後ろの孔にヒヤっとした感触と、ぬるぬると撫でる蓮の指。 「え……なんでここにローションがあんの?」 「だって秋さん、ソファでもやりたがること増えたから。そろそろ置いとかなきゃと思って」 「えぇ? ないから楽しいんじゃんか……」  ローションなしでどうやるかってのが醍醐味だろ? 「秋さん、ずいぶん余裕だね?」 「……ねぇよ、そんなん……はぁ……っ、あっ……」    ここでもまた、さっきの仕返しと言わんばかりに、蓮の指は孔の入口ばかりを広げてくる。   「れん……もっと……奥、……あっ……」 「奥? 奥にほしいの?」  何を? とささやくように耳元で聞いてくる。  指のつもりで言ったのに、そう聞かれるともう頭の中が蓮のもの一択になった。  早く奥深くまで入れてほしい。早く……。   「ん……っ、れん……早く……」 「早く、なに?」 「はや……く、きて……」 「どこに?」    めずらしく意地悪な蓮にゾクゾクする。  可愛い蓮が好きなのに、いつもと違う蓮に激しく欲情した。  答えない俺の乳首をピンッとはじいて「ねぇ、どこに? なにを?」と続け、後ろに入れた指は良いところを押してくる。   「あぁ……ッ」    さっき寸止めされたせいで、ちょっとの刺激がもうやばい。  ガクガクと足が震える。 「も……出る……っ」 「え? 出ちゃうの? 秋さん可愛い」    クスッと蓮が笑い、強い刺激が遠のいていく。また寸止めだ。  もう頭がおかしくなる……。 「れ、れん……早くお前の、入れて……」  震える手を伸ばして蓮のものに触れる。 「お前のこれで……深いとこ、突いて……」  蓮は笑顔で耳元に唇を寄せ、俺の懇願に応えた。 「いいよ」    そのささやきが耳に届いて、期待が膨れ上がったと同時に俺の中に蓮が入ってきた。 「……ん……ぁ……」  ゆっくり、ゆっくりと。  全部入った瞬間に、グッと最奥を突かれた。 「あっあぁ……っ!」    それだけで俺は簡単に果てた。 「本当に出ちゃったね? 可愛い」    びっくりした顔で破顔した蓮が、俺の顔中にキスを降らせた。  そのとろけるような笑顔の蓮を見て、たまらなく顔が緩む。 「俺の蓮……かわい」 「え? 俺?」  きょとんとする蓮はもっと可愛い。  俺の中でピクピクしてる蓮も可愛い。 「ね、秋さん……動いてもいい?」  切なげにねだる蓮も可愛い。 「……まだだめ」 「えー……」    お預けされて必死で耐える蓮も可愛い。  堪えきれずに、わずかに動く腰も可愛い。   「ふはっ」 「ん? なに?」    そしてたぶん自覚がないところも。   「うそ。いいよ、動いて」 「え、いいの?」 「ゆっくりな?」 「ん、わかった」    そして、ゆっくりと腰を動かしながら、快楽に顔をゆがめる蓮も可愛い。  蓮の首に腕を回し、引き寄せて唇をふさぐと、ふふっと笑って甘いキスをくれる。 「愛してる、秋さん」 「んっ、……うん、愛……してる……蓮」    蓮……俺の蓮。愛してる。  お笑い芸人に嫉妬しちゃうくらい、俺はお前を愛してるよ。            end.  

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