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【番外編】明日までずっとそばにいて・最終話

 (はかな)いライトの光に照らされている真人の目は欲望で濡れている。射貫くような視線で、余計に怜の中心は濡れてしまう。 「真人……、もうすぐイキそう」 「このまま最後までする? それとも素股する?」 「真人は? どっちが良い?」 「俺は、怜さんに求められたい。だから、怜さんがしたいほう」  一瞬、返事をためらった。流されて相手の好きなようにされたのであれば、言い訳もできるが、自分から求めたとあっては逃げ場がない。でも、だからこそ、真人は怜に「決めてくれ」と迫ったのだろう。流されて自分と寝るのではなく、怜の意思で選んでくれと。 「……素股する」  不愛想な表情と声色で、ぼそりと怜は呟き、自分から四つん這いになって真人に背を向けた。本当は、もっと色っぽく可愛くおねだりしたほうが彼も喜ぶのは分かっている。でも、真人がどんなセックスをするのか知りたいなんて、恥ずかしくてとても言えない。真人も、怜の本心を見抜いたのか、さり気ない態度を変えない。怜の腰に手を乗せ、膝立ちでにじり寄ってくる。 「脚、閉じててね」  ぎゅっと膝を寄せ、内腿に力を入れると、真人の熱い昂りがにゅるりと差し込まれる。(ふくろ)や雄茎を裏側から押し付けるように擦られ、思わず声が出た。一番敏感なのは先端だが、二番目、三番目に気持ち良いところをまとめて愛撫されるような感覚だ。怜の喘ぎ声は次第に大きくなる。 「はあ、はあ……っ。ああっ、あー、気持ち良い」  逞しい足腰から繰り出される律動は力強い。しかも、ストロークする幅や強さを変えながら突いてくる。本当に中まで押し入られたら、怜はどろどろに溶けるほど快感に甘やかされるだろう。そんなふしだらな妄想で余計に昂ってしまう。あられもない声をあげながら、あまりに急速に高まる快感を何とか逃して引き延ばそうと、怜はそわそわとシーツを握りしめる。爪先も捩れている。 「ふぅっ、ふう……っ。俺もイキそう。怜さん、イキたい? それとも、疲れるからやめとく?」 「やだ、やめちゃやだ。イキたい……っ」  射精による疲労が体調不良に響くと、真人は気遣ってくれたのだろうが、ここまで火がついた身体を放置するほうが、よほど悶々として落ち着かないに決まっている。怜はかぶりを振りながら甘えた声をあげる。 「……分かった。今日は前も触るね」  怜の背中に覆いかぶさるように上体を倒してきた真人は、右手を前に回し、二人の蜜でしとどに濡れている怜の主張の先端と、茎との繋ぎ目のくびれた部分を撫でまわす。 「あー、あ、あ、い、いく」 「俺も。怜さん、一緒に、」  二人は、ほぼ同時に熱情を迸らせた。  達するのをかなり長い時間我慢したからか、怜の太腿はぶるぶると生まれたての動物のように震える。うつ伏せになりたいが、シーツの状態が気になって下を向くと、いつの間にか怜の部屋着が敷かれていた。ベッドの上にあったそれを、真人がちょうど良い場所に敷き直したのだろう。 「ごめん、勝手に。シーツ汚れちゃうと大変かなと思って」  真人はそれを拾って怜の下腹部を拭き、そして自分を拭いた。なんと手際の良い、気の利く男だと、まじまじと見入っていると、彼は少し決まり悪そうに頬を染めた。 「細かいな、とか、慣れてるな、とか思った?」 「うん」  歯に衣着せず正直に怜が答えると、真人は苦笑した。 「そこは、もうちょっとオブラートに包もうよ」 「だって、悪い意味で言ってないから。真人は仕事でも目配りできて、他の人が困ってる時さっと助けてあげたりして、気が利くなぁって。前から思ってたんだよ」  ストレートな誉め言葉に、真人は再び頬を染め、勢い良く怜をベッドに組み敷いた。 「……そんな風に見ててくれたなんて、知らなかった」 「ああ、言ったことなかったもんね」  さらっと怜が答えると、真人は、噛み付くようにキスしてくる。 「言ってよ! ……って、なんかのCMみたいだけどさぁ!」  むきになり、怜に夢中だと素直にまとわりついてくるところは、子犬みたいで可愛らしい。会社ではいつも冷静沈着なのに、感情を剥き出しにして隠せないだなんて。怜は再び眩暈がしそうな幸福に胸を詰まらせる。真人の髪に指を通して梳き、顔を引き寄せて優しくキスをした。 「真人、好きだよ」 「……っ、怜さん。それ反則」  泣きそうに表情を歪めた彼の頭を胸に抱きよせ、髪と肩を撫でさする。 「明日、土曜だから、このまま泊ってく?」  無言で頷いた真人は怜を抱き竦め、上掛けを引き寄せて一緒に(くる)まった。この匂いに(つつ)まれて朝まで過ごすのは悪くない。温かな肌と規則的な鼓動と呼吸の心地よいリズムに安心し、怜は穏やかで幸せな眠りに落ちていった。           おしまい

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