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保健室〜自宅 ユイ2

 電車の中でもカグヤに話す内容のシュミレーションをしていたら、すぐに駅に着いた。家にも徒歩十分くらいなのですぐに着く。 「ただいま~」 「お帰り!今日はカグヤもいるから久々に家族揃っての晩御飯よ!」 母さんが張り切っている。そうだな、四人揃ってのご飯は久しぶりかもしれない。 手洗いうがいをして部屋着に着替えていると、ご飯が出来たと呼ぶ母さんの声。 食卓には俺以外の三人がすでに座っている。 今日のメニューは、トマトベースのロールキャベツとポテトサラダ。手間がかかるからと、なかなか作らない二品が揃っている所に母さんの気合いを感じる。 そりゃそうだよな、食べる人が多い方が作りがいもあるだろうし、四人全員が揃うとやっぱり嬉しいんだろう。 「いただきま~す。」 俺と父さんはロールキャベツでもご飯を食べるが、母さんとカグヤはパン派だ。トーストしたバケットを添えている。残ってたら俺も後でバケットをもらおう。ポテサラを乗せても、ロールキャベツのスープに浸しても美味そうだ。 「ちょっとユイ。あんた最近外泊し過ぎなんじゃない?」 「カグヤにだけは言われたくねぇわ!」 「母さんもいいの?」 「そうねぇ、友達のご自宅にお邪魔してるのなら頻繁に伺うのは止めるけど、一人暮らしのお友達の家なんでしょ?なら、別にいいかな?って思って。 確かにウチからだと遠いから、近くに泊まれる場所があれば行っちゃうのはしょうがないわよ。」 母さん・・・何かごめん。 「ふうん?友達、ねぇ?」 カグヤ!やめて!! 俺の願いが通じたのか、それ以上その話は続かなかった。ふうっ! その後は当たり障りのない会話をして食事を終え、順番に風呂に入る。俺が最後だ。カグヤのヤツこのまま寝てくれないかな? しかし、そんな希望も虚しく、俺が風呂から上がって部屋に戻るとカグヤが居た。 「勝手に入るなよ。」 「あんた、今度こそ処女喪失したでしょ?!」 「・・・悪いかよ。」 「べっつにぃ?」 「何かムカつく。」 「で、色々どうなってるの?洗いざらい吐いてもらうわよ?!」 どこの刑事だよ?! まぁ、ジュン様と兄さんの事もあるし、カグヤには話さないわけにもいかない。 俺は、昨日までの事を話した。 「ふうん?あんたの彼氏って兄貴の親衛隊長なの?それって嫌じゃないの?」 「まぁ、俺がジュン様の事を崇拝してるのと同じ感じだからな。嫌ではないし、理解も出来る。」 「やっぱり一度会わない事には話が進まないわね!よし、次の土曜日にあたしもそのカフェにランチしに行くわよ! 彼氏は絶対連れて来なさい。予定が空いてるか分からないけど兄貴も誘ってみてよ。十四年ぶり?に会いたいし。」 「母さんに怒られるんじゃねーの?会わないって約束してるんだろ?」 「母さんも今はもうそんなこと思ってないわよ。離婚した当時は『絶対会わせない!!』って息巻いてたけど、今はどうでもいいって言うわよ。もしかしたら親父には会いたくなくても、兄貴には会いたいって思ってるかもね?」 「ふうん。ならいいけど・・・本気でマデリカに行くの?ジュン様の恋人のレンさんが働いてるんだよ?」 「そのレンさんにも会ってみたいし、お姉さんのランさん?も、あたしと気が合いそうな人なんでしょ?絶対行くからね!!」 あぁ、こうなったらカグヤを止めるのは不可能だ。 俺は渋々了承し、シグと冬崎先輩にメッセージを送った。 シグはもちろんOK。冬崎先輩もノリノリで、兄さんは仕方なしにOKしてくれたようだ。 はぁ、どうなる事やら・・・

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