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ある男の受難 2※

更には、呪わしい事に思考が蕩け、僅かな刺激すら身体が疼いて歓喜してしまう。 胸元の尖りを捏ね回され、舌で嬲られるだけでどうしようもなく淫らな声を上げたくなる。 どれだけ記憶を掘り返しても、笑顔で陵辱に励む男には見覚えがない。 正常な思考を奪われていても、その声にも、顔にも、名前にも思い当たる節はない。 ひたすらに困惑しても、身体をまさぐる手は止まらず、傲慢な快楽が容赦なく降りかかってくる。 「ん、ンゥッ……!」 捩るように強く尖りを摘ままれ、眉根を寄せながらくぐもった声が上がる。 「わあ、おっきい声出たね。痛かった?」 「ウゥッ……!」 「ん~? 何か言いたいのかなあ。ギュッてされるの痛い?」 「ん、んっ……」 「痛いけど……、気持ちいい? こうやってゴシゴシされるのさァ、俺好きなんだァ」 無遠慮に見下ろす青年が、悪戯な笑みを湛えながら乳房を弄び、親指で尖りを強かに擦る。 ぐにぐにと力任せに捏ねられ、痛みよりも快感が勝るまでに時間は掛からず、甘ったるい痺れが下腹部に集まっていくのを感じる。 「お兄さんもやっぱ好きなんだあ。何か乱暴にされるの好きそうだもんね」 何を勝手な事を、と思っても口には出せず、だらしなく涎ばかりが唇から伝い落ちていく。 一方を指で、もう一方を口内で転がされて耐え難く、無意味と分かっていても逃れようと身を捩らせる。 「そんな事しても無駄だよぉ。それにお兄さんさァ、ホントは嫌いじゃないでしょ? だって気持ちいいんだから」 舌で尖りを舐めてから、再び起き上がったイノリが含み笑いを浮かべると、すでに猛ったそれへと指を這わせてくる。 「ンンッ……!」 「あ~、急に触られて刺激強かった? ちょっと扱いただけで我慢汁ドロドロ出てくんじゃん。これはァ、もしかしなくても溜まってたかなァ。最近えっちしてない?」 「ン、んゥッ!」 「そっかァ、お兄さんご無沙汰なんだねえ。でも、安心して! 俺が気持ち良くしてあげるから!」 ふざけるな、と心で叫んでも、うっとりとした様相のイノリからは都合の良い解釈しか出てこず、ますます楽しそうに自身を扱き始める。 快楽を受け流そうとしても、気を散らそうとしてみても無駄で、苛烈な愛撫に晒されて淫らな欲望が絶えず先端から噴き出していく。 「あ~、いっけないんだぁ。こんなにえっちな汁だらだら零しちゃって。もうイッちゃうの?」 「んっ……、ふぅ」 「我慢してる顔すっごくいいなあ。こんなにぐちゅぐちゅされてるのに、まだ頑張ろうなんて思えるんだぁ。可愛いなあ」 からかうような仕草に腹が立つも、いいようにされている事しか出来ず、抗おうと身動いだところで自身はどんどん追い詰められている。 ぐちゅ、と淫らな音を立てる度に鈴口からは涎が溢れ、だらしなく快楽を享受しながら幹をいやらしく汚している。 のんびりとした口調とは裏腹に、自身を攻め立てる愛撫は荒々しく、気を抜けば一瞬で達してしまいそうになる。 口を塞がれていて文句は言えないものの、外されればみっともない声を真っ先に上げそうで、苦しげな呼吸を繰り返しながら気を紛らわせようとする。 「ねえ、サトリ! 見て見て! めちゃくちゃ可愛いよ~!」 「うん、よく見えてるよ。俺、先にその子に挿れたいな」 「え~!? やだよ~! 俺が先~!」 「え~、先に遊ばせてあげてるじゃない」 「俺がイクまで終わりじゃないもん!」 「しょうがないなあ。でもイノリが見つけた子だからね、一番は譲ってあげようかな。でも……」 凶悪な快楽と戦いながら脂汗を滲ませていると、寝台が軋みを上げて思わず視線を向ける。 「俺もそろそろ、お兄さんと遊びたいかな。ね、3人のほうがもっと気持ちいいよ……? 今まで感じた事がないくらい、いいところに行かせてあげる」

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